ANAは1月28日、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて公募した国内線特別塗装機「HELLO 2020 JET」の就航に先駆け、羽田空港格納庫にてお披露目会を開催した。式典には特別塗装機をデザインした松本朝陽さん(応募時ニックネーム: ASAHI)とANA所属の福原愛選手も登場した。
飛行機少年が描いた翼
同機は、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の成功、そして、大会の基本ビジョン「全員が自己ベスト」「多様性と調和」「未来への継承」実現への思いを込めて、構想したものであり、デザインは一般公募を実施した。応募のあった786作品に対し2万を超える投票があり、最も多くの得票数(7,817票)を獲得した松本さんの作品が大賞に選ばれた。
応募時は15歳だった松本さんは現在、高校1年生。神戸在住で、小さい頃から伊丹や関空に降り立つ飛行機に触れ、自然と飛行機が大好きになったという。「小さい頃は鉄道だったんですが、いつからか飛行機の方に興味が湧いたようです」と松本さんのお父さんは言う。
そんな松本さんの将来の夢は「デザイナー」と「飛行機の整備士」。パイロットという夢もあったようだが、視力の関係で整備士にシフトしたという理由のほか、2003年に放映されたドラマ「GOOD LUCK!!」の影響も大きかったそうだ。今回、自分がデザインした飛行機が整備士たちの現場・格納庫で披露され、「HELLO 2020 JET」は松本さん自身の夢も大きく羽ばたかせてくれたことだろう。
「HELLO 2020 JET」の塗装は、伊丹空港隣接のANA格納庫にて、1月7日~27日の20日間をかけて実施。27日に行われたフェリーフライトには多くの人が駆けつけ、その中には松本さんの友人たちもいたという。
28日に羽田空港格納庫でお披露目会を実施した後、29日より羽田発/福岡行のANA243便(8時20分発)を初便として、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの終了時までを目途に、全国の空を駆け抜ける。この初便には、松本さんも搭乗を予定している。
五輪と日本が融合したダイナミックなデザイン
「HELLO 2020 JET」には、カヌーやテニス、競泳、アーテェリー、ゴルフ、自転車など、様々な種目をデザイン。松本さんは「東京2020でどの種目もがんばってほしい」という願いを込め、それぞれの種目をシルエットにした。その中でも特に、車いすバスケットボールはお気に入りのデザインと話す。
また、富士山や東京タワー、スカイツリー、桜、梅、紅葉など、日本の代表的な自然や建造物などを描くことで、日本らしさを強調。レッドやオレンジ、イエロー、ブルー、グリーンなど、色鮮やかなカラーリングも特長のひとつで、特にイエローは松本さん自身が好きなカラーらしく、「飛行機にデザインされた際にも映えるカラーリングになっていてうれしい」と話してくれた。
「HELLO 2020 JET」に対してANA代表取締役社長の平子裕志氏は、「誠にダイナミックで鮮やかなカラー、そして、日本の未来を表現するデザインです。みなさまに乗っていただき、一緒に機運を盛り上げていきたい」と語った。
また、お披露目会にはANA代表取締役副社長の志規隆史氏、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の古宮正章副事務総長、日本オリンピック委員会の竹田恆和会長、日本パラリンピック委員会の鳥原光憲会長からも祝辞が述べられた。
福原選手から2度も「びっくり」
お披露目会には、福原愛選手もゲストとして登場。「HELLO 2020 JET」に対して、まず、「すごくびっくりしました」と話し、「絵を見させていただきまして、絵の通りにデザインされていてびっくりしました」と改めて感想を述べた。
現在、子育て中の福原選手だが、「自分の国でオリンピックが開催されるのは一生に一度の機会だと思いますし、私も何かしらの形で関わっていきたいです」と話す。式の最後には福原選手からのサプライズとして、福原選手のサイン入り「HELLO 2020 JET」モデルプレーンが、松本さんにプレゼントされた。
「HELLO 2020 JET」は国内線仕様のボーイング777-200で、機番はJA741A。座席数は、プレミアムクラス21席と普通席384席の全405席となっている。機内では、東京2020のエンブレムがデザインされたヘッドレストカバーを使用。また、CAのエプロンも同様に、特別デザインとなっている。今後、「HELLO 2020 JET」デザインのグッズ販売も検討していくという。