ハスキーかつダイナミックなボーカルが魅力の高校生アニソンシンガー・亜咲花。TVアニメ『ゆるキャン△』のOPテーマに起用された4thシングル「SHINY DAYS」では、その卓越した歌唱力を活かして、ミドルテンポの明るく爽やかなナンバーをソウルフルに歌い上げている。本稿ではそのリリースにあたってのインタビューを掲載。もちろんこのシングルに込めた想いにも迫りつつ、彼女が"仲間"と称するファンと同じ目線を、あらゆる活動において大事にしているということもうかがうことができた。
亜咲花(あさか)。1999年10月7日生まれ。愛知県出身。T&E Corporation所属。2016年10月に17歳の高校生アニソンシンガーとしてTVアニメ『Occultic;Nine –オカルティック・ナイン-』EDテーマ「Open your eyes」でデビュー。現在放送中のTVアニメ『ゆるキャン△』OPテーマ「SHINY DAYS」を担当 |
▼アニメ・アニソン好きの源流は『涼宮ハルヒの憂鬱』と『マクロスF』
――今回は、まず亜咲花さんのデビューのきっかけからお伺いしたいと思っています。
2015年に、通っていたボイストレーニングのスクールの校内オーディションで声をかけていただいたのがきっかけでした。
――昔からアニメやアニソンはお好きだったんですか?
はい。小さいころ、アメリカに5年間住んでいたんですけど、日本に帰ってきてからアニメとかアニソンにハマるようになりまして。ちょうどアメリカにいたときに放送されていた作品を2~3年越しで観ることが多かったんですけど、『涼宮ハルヒの憂鬱』がすごく衝撃的で、アニメを観始めるきっかけになりました。
――アニソンにハマったのも、それがきっかけで?
アニソンに興味がわき始めたのは、それからちょっと経ってからでした。『マクロスF』でMay'nさんやアニソンシンガーっていう職業を知って、中2~中3の頃に「私もMay'nさんみたいなアニソン歌手になりたい!」と思ったんです。
――御自身でもライブに参戦されたりするんですか?
はい! アニメのイベントもライブもよく行っています。特に「アニサマ」は毎年楽しみにしているんですけど、未成年なのでいつも父と一緒に行っているんです。そうしたら、最初は保護者として来てくれていた父もいつの間にかアニソン大好きになっていて(笑)。今では毎年一緒に、横でペンライトを振っているんですよ。それにアニサマは「自分もこのライブに出たいな」という具体的な目標にもなっていて、"アニソンシンガー"という自分の夢に刺激も与えてくれた場所なんです。
――逆に、ステージに立つ側としてこれまで印象深かったことはありますか?
去年の夏に、アニサマの「けやきひろばステージ」に出させていただいたことですね。この間まで観客の側だったのにまさか自分がステージに立てる日が来るなんてまったく思っていなかったので、すごくうれしかったです。なにより父もいちばん喜んで、すごく楽しんでいましたし(笑)。みんなの顔がはっきり見えて、景色を感じられたのがすごくうれしかったです。けやきひろばを経験してから本編に出られた方もたくさんいらっしゃるので、自分もいつかそのひとりになれたら、と思っています。
▼いつまでも、自分の曲がOPで流れることへの感動を忘れたくない
――さて、今回4thシングル「SHINY DAYS」がリリースされました。今回はTVアニメ『ゆるキャン△』のOPテーマに起用されていますが、その作品自体にはどのような印象をお持ちですか?
しっかりキャンプの楽しさを詰め込んだ作品になっていて。「(まんがタイム)きらら作品で、キャラクターが可愛いのはもちろんなのですが、可愛いだけじゃなくてキャンプの勉強にもなる作品だな」って思いました。
――「SHINY DAYS」自体の第一印象はいかがでしたか?
すごくふわっとした、かわいい曲だなぁと思いました。今回は初めてのOPテーマということで私の歌でアニメが始まるということなので、「これから『ゆるキャン△』が始まるんだ!」っていうワクワク感・ドキドキ感をどう伝えればいいんだろう? と思った部分もあったんですけど、「せっかく私が歌わせていただくからには、かっこよく仕上げたいな」と思って、"爽やか"と"かっこいい"をテーマに歌わせていただきました。
――この曲は亜咲花さんの曲としても新しい曲調だと思うのですが、何かレコーディングでトライしたことはありますか?
今回は洋楽調の楽曲だったので、曲全体的に洋楽っぽい歌い方や歌いまわしを意識しました。あとはキャラクターの気持ちもありつつ、自分の気持ちも乗せて歌いましたね。というのも歌詞の一つひとつがこの春高校を卒業する今の自分と重なっていて、「この曲には、卒業してからの未来が詰まっているんだなぁ」って思いましたし、深読みすればするほどこの曲の歌詞が自分の人生に近いような気がしてきたんです。
――それは、特にどんな部分で?
1サビ前までがデビューまでの道のりで、1サビが今のアニソン歌手としての道を表しているみたいなんです。それに2番の「少しの勇気がきっかけで 動き出す世界」っていうのも、オーディションを受けて世界が変わった私と重なって。なのですごく爽やかな曲なんですけど、ちょっとウルッとするところもありました。
――そんなこの曲を歌うときに、テーマにされたことはありましたか?
今回のこの曲のテーマが「キャンプに行く前の、『ゆるキャン△』に登場するキャラクターたちのワクワク感やドキドキ感」だったので、作品の世界観を踏まえつつ、キャンプへの道中に聴いてほしい曲になるように仕上げました。
――まさに"TVアニメのOP"らしい立ち位置の曲ですね。
はい。そのテーマを聞くまでは私もキャンプの最中を思い描いていたんですけど、そのテーマが頭に入ると歌い方も全然変わったんですよ。たとえば「窓を開けたら」っていうのも寝起きというのを頭に置いてあまりテンションを上げすぎず、でも爽やかな感じで歌いました。
――その直後の「胸に あふれていく」の部分は、抜き気味で歌われながらも特にワクワクがあふれているように感じました。
そうなんです! ここを強く歌っちゃうと「行くぞ!」って感じになっちゃうんですけど、それよりも「もうすぐだ、ドキドキ……!」っていう気持ちを抜き気味の歌声で表現しました。
――アニメのOP映像と合わさって、ファンの方から声はありました?
すごい反響でした。私はOPを観て号泣していたんですけど(笑)、ファンの皆さんも「OP聴いただけで泣いちゃったよ」みたいにおっしゃってくれたので、みんなで一緒にひとつの目標に向かっていけることはすごくいいことだなと思いましたし、そういう声をもらって改めて、「私もみんなと一緒に、夢に向かって歩んでいるんだ」っていうのを実感できました。
――やはり映像と一緒に流れると、グッときますよね。
きますきます。こういうお話をいただくときにも映像が出来上がったときも泣きますし……普段あんまり泣かないのに(笑)。アニソンシンガーになれて、次々と夢が実現していくことはやっぱりうれしいでですし、デビューから1年経った今でもそのうれしさや感動は抜けません。でもまだまだ夢はたくさんありますし、それがかなうたびにうれしいですし……この気持ちを、いつまでも忘れたくないですね。
――映像といえば、今回もMVを製作されています。こちらは歌詞のイメージと非常にリンクしたものになっていますね。
はい。本当に朝起きて、窓を開けて、光が差す……っていうところから始まるんですけど、いつもの背伸びした自分を出すMVではなく、高校3年生の素の自分を詰め込んだものになっているんです。なのでこれまでの"演じる楽しさ"とは違った、"素を出せる楽しさ"を知れました。
――特に楽しさが強く感じられたのは、バーベキューのシーンでした。
すごく楽しかったです。今までのMVではほかの方とガッツリ絡むシーンはなかなかなかったんですけど、今回はみんなであーんしたりとか「これ食べるー?」ってみんなで回したりとか、「すごいキャンプ感あふれてるなぁ」って思いました。
――しかもそこには、『ゆるキャン△』の第1話とリンクするシーンもあるんですよね。
ねぇ。みんなで自撮りしたり、マシュマロも焼いたり。でもマシュマロは、時間の都合で食べられなかったんですよ。スモアっていうクラッカーにチョコと焼いたマシュマロを挟んで作るお菓子ががすごく好きで、アメリカでバーベキューしたときはよく作ってたんですけど……『ゆるキャン△』の作中にもスモアは登場するので、「早く、アニメに出てこないかな?」ってドキドキしてます(笑)。