パナソニックは1月16日、住宅設備や家電製品をコントロールする「スマートHEMS」の機能拡充を発表しました。HEMSとは、「Home Energy Management System」の略語。パナソニックのスマートHEMSは、家電を含む住宅設備をインターネットにつなぐことで、電気やガスの使用量を「見える化」したり、家電製品を「自動制御」したりできる管理システムです。
パナソニックのスマートHEMSを利用するには、中核をなすコントロール機器「AiSEG2」が必要です。AiSEG2に備えたモニターから、1日の光熱費の確認、照明やエアコンなど対応する家電製品の電源オンオフが行えます。専用のスマホアプリを使えば、外出先からも対応する家電を遠隔操作することも。
スマートHEMSにおいて必須となる中核機「AiSEG」シリーズは、2017年9月の時点で、販売台数が12万台を突破。パナソニックはスマートHEMSのさらなる普及のため、「音声操作への対応」「スマートHEMS対応の家電製品の拡充」「AIの活用」をかかげました。
まず、AiSEG2とスマートスピーカーの連携を発表。2018年内に実現予定です。Googleの音声アシスタント「Google Assistant」に対応したスピーカーに話しかけるだけで、家電の操作が可能となります。今回、正式発表されたスマートHEMS対応の音声アシスタントはGoogle Assistantだけですが、AmazonのAlexaやLINEのClovaなど、他社の音声アシスタントについても、導入を検討しているとのこと。
発表会では、スマートスピーカー「Google Home」を利用し、照明のオンオフを切り替えるデモンストレーションが行われました。リビング用と寝室用の照明を用意し、「OK,Google、リビングの電気を消して」とGoogle Homeに話しかけると、リビングの照明を消灯できました。あらかじめ設定したキーワードで操作することも可能です。デモンストレーションでは、「OK,Google、行ってきます」と話しかけると、リビング用と寝室用の照明が消えました。
3月21日からは、スマートHEMSに対応する製品が、4社23機種から、14社27機種になります。これにより遠隔操作で、エアコンや照明のコントロール以外にも、床暖房をオンオフ、玄関のデジタル鍵を開閉、お風呂のお湯張りなども行えるようになります。
また、ソーラーパネルで自家発電できる家でスマートHEMSを利用すると、AiSEG2とつながるクラウド上のAIが、電気の使い方を判断してくれます。たとえば、翌日の天気予報が晴れだった場合を考えてみましょう。翌日が晴れだと、AIは「その日たくさん発電できるな」と考えます。そこで、昼間と比べて電気代金が安い深夜に、給湯器の水を一定量だけ沸かしておき、足りない分のお湯は翌日の昼間に発電した余剰電気を利用して沸かせば、電気代の節約になります。
家電の遠隔操作は大変便利ですが、心配なのはセキュリティ。無関係な第三者に家電を操作され、知らないうちに電気がついたり、ぐつぐつと煮え立った高温のお風呂が沸いていたりしたら困ります。そこで3月21日からは、自宅のインターネットとAiSEG2をつなげる際に必要な初期パスワードを4桁から10桁に増やします。パナソニックの開発担当者は、「セキュリティの安全性は十分に担保した」と述べました。
機能を強化したAiSEG2は3月21日に発売。希望小売価格は、7型モニターがついた「MKN 713」が80,000円(税、工事費別)、モニターなしの「MKN704」「MKN705」が40,000円(税、工事費別)です。なお、既にAiSEG2を持っている人は、ファームウェアをアップデートすることで新機能を使えます。スマートHEMS対応製品一覧は、パナソニックのWebサイトで確認できます。
このほか企画段階ではありますが、電気自動車(EV)との連携も検討されています。すべての家電がインターネットにつながり、家中の家電をどこからでも操作できる世界。かつてマンガで見ていたような未来の足音が聞こえてきました。