1月24日にNHKのBSプレミアムで放送される兵庫発地域ドラマ『あったまるユートピア』(22:00~22:59)の試写会が17日、東京・渋谷の同局で行われ、主演の倉科カナをはじめ、堀春菜、アヤカ・ウィルソン、渡部豪太、前野健太が出席した。
兵庫県豊岡市にある城崎温泉を舞台にした同ドラマ。阪神・淡路大震災で両親を失くした鷹宮伊織(倉科カナ)、演劇の世界を夢見る高校生の城殿蓮(堀春菜)、世界的ダンサーの夫と豊岡市を訪れたベルキー育ちでシリア人のララ(アヤカ・ウィルソン)が、不思議な出会いを通して見失っていたそれぞれの夢や居場所を見つめ直す、というストーリーとなっている。
震災遺児という繊細な役を演じた主演の倉科は「とても難易度が高かったんですが、重たいモノを抱えているからって弱くなりたくなかったんです。両親や家族もいないし、仲の悪いウサギしかいないけれど、だからと言ってその重さを出したくありませんでした」と説明し、「ちゃんと生きているという部分を表現したかったし、表現しすぎるのも良くないので、その塩梅が難しかったですね」と微妙な表現には苦労した様子。その彼女は、一昨年4月に起きた熊本地震で実家が被災したことを明かしつつ、「家族は無事でしたが、家が傾きました。それで済んだからいいですけど、当たり前なモノって実は当たり前じゃなくて、だからこそ大切にしなければいけないと思いました」と感じるものがあったようで、「この作品には日々のきらめきがたくさん詰まっています。何か少しでも残ればうれしいですね」と言葉を選びながら同ドラマをアピールした。
劇中のクライマックスでは、城崎国際アートセンターで現地の高校生たちとキャスト陣によるダンスのシーンが披露される。倉科は「ダンスが向いてないと発見しました(笑)」とダンスが苦手だと告白するも、「高校生の眩しさと自分の気持ちの切なさに泣きそうになっちゃいました」と同シーンが印象に残ったという。そんなダンスシーンでの倉科について渡部は「最後のフリを間違え、チェックしている時に『やっちまった!』みたいな顔をしていましたが、使い所が分かっているので最後は決めてましたね」と暴露。渡部の思わぬ発言に倉科は「そんなことありました?」ととぼけながら、「踊れなくたっていいんです! 私思ったんです。この作品は踊らなくてもいいことを。だって、生きづらいこの世界を楽しくするのは自分自身なんですから。気持ちの持ちよう!」と最後は前向きに語っていた。