ソニーは2018年の春、テレビ向けのシンプルなサウンドバー製品を2モデル発売します。HDMIケーブル1本で接続できるコンパクトな「HT-S200F」と、人物の声がすっきりクリアに聞こえる「HT-S100F」で、推定市場価格はともに2万円台になる見込みです。
ホームシアター入門として
サウンドバーは、テレビと接続して映像コンテンツのサウンドをよりリッチに奏でる製品です。ホームシアター・システム市場の拡大を目指すソニーは、これまでフラッグシップモデル「HT-ST5000」を筆頭に、プレミアムモデル「HT-MT500」「HT-NT5」「HT-CT790」「HT-RT5」「HT-ZR5P」、スタンダードモデル「HT-MT300」「HT-CT380」「HT-XT2」などのサウンドバーを展開してきました。今回の新製品は、サウンドバーの入門機として最適な「ベーシックモデル」という新カテゴリに位置づけられています。
コンパクトながら低域が豊かな「HT-S200F」
「HT-S200F」は、高音質「S-FORCE PROフロントサラウンド」に対応した最大出力80Wのモデル。サイズは約58(W)×6.4(H)×9.5(D)cmで、幅・高さ・奥行きがコンパクトなのが特徴です。IR(赤外線)リピーターの搭載によって、テレビ受光部が隠れるようなことがあっても、テレビのリモコン操作が可能。
テレビリモコンと連動した操作もサポートしており、電源オンオフや音量調整がシームレスに行えます。接続がHDMIケーブル×1本で済むのも手軽です。実際に製品を手にしてみると思いのほか重量があり(約2.3kg)、良い音で鳴ってくれるだろうという期待感が強まりました。ツヤ消しのカラーリングでデザインにも高級感があり、部屋のインテリアにも馴染むでしょう。
音響面では、コンパクトながらもサブウーファーを内蔵。バースピーカー両端のバスレフ効果も相まって、豊かな低域が楽しめるそうです。カラバリはチャコールブラックとクリームホワイトの2色で展開。発売日は1月27日で、市場推定価格は28,000円前後(税別)となっています。
ドラマなら「HT-S100F」
姉妹機の「HT-S100F」は、2.0ch 100Wの2wayスピーカーシステムによって、高精細なサウンドが楽しめる製品です。HT-S200Fよりもスリムな奥行き8.8cmを実現しています。ボイスモードを搭載し、映像内の人物の声が聞きとりやすいのが特徴。
具体的にどんなジャンルに適しているかというと、ソニーの担当者は「ドラマのほか、ニュースやバラエティなどの地デジ番組のコンテンツ視聴を想定してチューニングしています」と説明してくれました。サイズは約90(W)×6.4(H)×8.8(D)cm、重量は2.4kg。発売日は2月17日で、市場推定価格は23,000円前後となっています。
どんな音?
HT-S200FとHT-S100Fのサウンドを聴いてみました。家庭用Blu-rayプレーヤーで海外のアクション映画を再生したところ、テレビの下に置いたHT-S200Fからはクッキリはっきりで解像度の高い、迫力のある音が聞こえてきました。テレビの内蔵スピーカーと比較すると音圧も音の奥行きも段違い。これなら映画の世界に思う存分に没入できそうです。
またHT-S100Fでは、音の輪郭がはっきりするイメージで、人の声が聴き取りやすく感じます。普段は音量を上げてテレビ番組を視聴しているような、高齢者の方にも喜ばれるのではないでしょうか。
一方で、高価でラグジュアリーな音響システムとの違いにも気が付きます。さすがに10万円クラスの製品の迫力にはおよびません。ただコストパフォーマンスを考えると、HT-S200FとHT-S100Fは満足度の高い製品といえるでしょう。このベーシックモデルでサウンドバーの魅力を知り、財布と相談しながらグレードアップしていくのもよいかもしれませんね。
前述のように、HT-S200FとHT-S100Fの利点は、棒状のためテレビ前のわずかなスペースに設置できること、セッティングが簡単なこと、少ない投資で贅沢な音が楽しめることです。
「テレビの音を改善したいという声をよく聞きます。でも、AVアンプ+スピーカーシステムだと、『価格が高い』『近隣の騒音トラブルが心配』『配線が面倒そう』『サイズが大きくて住環境にそぐわない』といった理由で購入が見送られがちです。そこで開発したのがHT-S200FとHT-S100Fです」(ソニーの担当者)。
2万円~3万円の投資で、テレビ視聴がいっそう心弾むものになるのは魅力的。ホームシアターに憧れはあるけれど、自分には縁の遠い世界、そう考えていた人にもおすすめしたい製品です。