大型ディスプレイパネルの動向
中国のBOE Technologyが所有する世界初の第10.5世代の液晶パネル工場は、2008年第1四半期末に量産を開始する予定である。同工場は、世界最大規模のパネル工場になるだけでなく、BOEが世界トップクラスの出荷台数を達成することを可能にする旗艦工場となる。同工場は、65型および75型の大型テレビ向け液晶パネルの生産がメインで、この動きに対して、韓国と台湾のパネルメーカーは先行して2017年中に65型と75型のパネルの出荷枚数をそれぞれ1100万と160万枚に増加させている。
2018年は、パネルメーカーによる生産能力の増強が続いているため、大型パネル市場は供給過剰となり、価格は下落が続く可能性が高い。ただし、価格が下がれば、それだけ製品の販売促進につながるため、TrendForceでは、2018年の大型パネル需要と供給(面積ベース)はそれぞれ7%増、7.7%増との予測を示しているほか、市場の需要が増加すれば、大型パネルの不足率も7.8%から5.2%へと改善されることになるとしている。
小型ディスプレイパネルの動向
iPhone Xの発売は、スマホ市場に多大な影響をもたらしたといえる。例えば、液晶から有機ELへとパネルが移行したことで、有機ELの生産能力増強に向けた投資が中国勢を中心に相次いでいる。iPhoneの有機ELパネルの独占的サプライヤであるSamsung Display(SDC)は、有機ELパネルの技術と生産能力の両面で市場のリーダーとなっているが、今後は生産能力を強化したLG DisplayやBOEなどの競合との競争に突入することとなる。その結果、地域別に見た中小型有機ELの生産能力について、TrendForceでは、早ければ2020年には韓国メーカーの生産能力比率は全体の66%にまで低下する一方、中国系メーカーの比率が23%まで上昇するとの見通しを示している。
この一方で、液晶パネルメーカーと半導体メーカーは、タッチパネルコントローラICとディスプレイドライバICを1チップ化した「TDDI(Touch and Display Driver Integration)」を組み込んだタッチパネル機能を液晶セル内に組み込むIn-Cell方式の売り込みを強化しようと取り組んできた。しかし、AppleのiPhoneが主軸を液晶から有機ELへと移行させる流れを作ったことから、In-Cell方式の将来性は、Appleの動向次第という状況となっており、TrendForceでは、2018年におけるIn-Cell方式のシェアは25.5%程度に留まると見ている。
このほか、2017年は、フルスクリーンの18:9以上のアスペクト比のスマホが登場したが、2018年は、その普及が加速し、普及率も39.6%まで拡大すると予測している。
マイクロLEDの動向
AppleがマイクロLED専業ベンチャーであったLux Vueを2014年に買収すると、マイクロLEDの存在が市場で脚光を浴びるようになったが、実情は開発の初期段階であり、まだまだ物質移動、エピタキシャル層の均一性、電流制御、フルカラー発光といったさまざまな技術的問題を解決して行く必要があるという。
ただしマイクロLEDは、その優れた特性により、スマートウォッチやスマホのほか、車載ディスプレイやAR/VR、デジタルサイネージ、テレビといった幅広いアプリケーションに使用できる可能性があるといえる。しかし、当面は、高い技術的障壁と高コスト体質が続くことから、適用はハイエンドのテレビや車載ディスプレイなどに留まると見られるという。
参考
・Excerpts from TrendForce's Forum on Key Trends in Electronic Components Industry (12-07-2017 TrendForce)
・Demand for Servers in Data Centers Will be a Major Driving Force of Global Server Shipment’s 5.53% Growth in 2018, Says TrendForce
・TrendForce Says Intervention in the Memory Market by China’s NDRC May Affect Prices of Mobile DRAM
・Major NAND Flash Manufacturers Including Toshiba Have Announced Production Capacity Expansion Plans, TrendForce Forecasts a Possible Oversupply in 2019