海老のすり身をぜいたくに使って香ばしく焼き上げた「ゆかり」は、小さな子どもにも年配の方にも人気の逸品。ご進物として届く度、家族みんなで楽しいおやつの時間を過ごした記憶がある人も多いだろう。なんせこの焼菓子、かなり昔から存在している。では一体、商品の誕生はいつなのか? 製造販売元の坂角総本舖にうかがった。
「ゆかり」発祥の地は海老の産地
「ゆかり」の元祖は、寛文6(1666)年、尾張藩主・徳川光友公が知多の横須賀(現在の愛知県東海市)に御殿を造営された際に献上された「えびはんぺい」だという。「えびはんぺい」とは、エビのすり身を炙って焼いたもの。当時、漁師たちが浜辺で獲れたての海老で作っていたものだが、これが大変な美味で光友公の気に入るところとなり、以降、徳川家献上品となったんだとか。
というのも、車海老は愛知県の県魚。伊勢湾や三河湾ではたくさんの天然海老が獲れるという。「ゆかり」発祥の地で現在では坂角総本舖本店がある東海市横須賀町でも、かつては店のすぐ前まで海が広がっており、たくさんの海老が水揚げされていたという。
人と人との縁を結ぶ焼菓子として
光友公への献上から時を経た明治22(1889)年、坂角総本舖が幕開けした際、創業者の坂角次郎氏は「えびはんぺい」を改良して「ゆかり」の原型となる「生せんべい」を完成させる。そこから徐々に現在の姿と味へと変形し続け、昭和41(1966)年、三代目によって「ゆかり」と名付けられるに至った。
命名理由は、「人と人を結ぶご縁の品として、贈り物として使っていただきたい」というもの。つまり、「ゆかり」は漢字にすると「縁」というわけである。
バラエティ豊かなパッケージも楽しい
そこから50年強を経た現在では、スタンダードな黒箱・缶の「ゆかり」に加え、名古屋限定の「ゆかり黄金缶」、女性をターゲットに開発された一口サイズの「姫ゆかり」などバラエティ豊かな商品をそろえている。いずれも商品の味は同じだが、お客の要望に応えて、様々な用途に使えるようにラインナップを増やしてきたのだとか。
季節に合わせたパッケージから朱色を基調としたおめでたいデザインのものまでさまざまにそろい、見ているだけでも楽しくて開けるのがもったいなく感じるが、一度開封したら食べ進める手が止まらなくなってしまう。
でも、ダイエット中でも心配無用。実は「ゆかり」は1枚で23kcalしかないため、糖尿病専門医や栄養士も太鼓判を押すヘルシー焼菓子なんだとか。その理由は、低カロリーな海老の身をたっぷり7尾分使い、7割が海老でできているから。小麦や米を主原料とするおせんべいと比べて、糖質やカロリーがぐっと抑えられているのだ。
海鮮の旨みたっぷりのその他の煎餅もオススメ
その他、天然海老、国産するめいか、国産甘海老、国産帆立、国産桜海老の旨みを凝縮させて作った「坂角三代目せんべい五宝(ごほう)」などの魅惑的な商品も。2017年、iTQi(国際味覚審査機構)の優秀味覚賞を受賞したという同煎餅を筆頭に、海鮮の旨みを堪能できる商品がそろっているので、ぜひ店頭やオンラインショップをチェックしてみてはいかが?