西日本鉄道(西鉄)は2017年4月、「2018年度末に、本格的な観光列車を導入する」と発表した。インテリアには沿線地域の素材を取り入れ、さらに地元の食材を活用した料理を提供し「地域」を感じさせる列車を目指すという。いわゆる「レストラントレイン」である。
導入の目的は、利用客の沿線地域での消費、地域の店舗・企業などの販売拡大支援や、あるいは情報発信による観光客の増加、沿線イメージ向上による居住人口の増加などへの期待だ。
車両は既存の電車の改造。天神大牟田線(西鉄福岡〜大牟田間)での運行が予定されており、2017年度中には設計を固め、2018年度に車両改造を実施するとしている。ほどなく、車両のイメージやネーミングが発表されよう。
2本の観光列車「旅人」「水都」
西鉄が観光客をターゲットとした列車を投入するのは、これが初めてではない。
2014年にまず、太宰府の観光活性化を目的として「旅人(たびと)」を8000形電車の改造でお目見えさせた。8000形は2人掛けの転換式クロスシートを備えた天神大牟田線の特急用電車で、都市間輸送や通勤輸送に活躍したタイプだ。
改造内容は大規模なものではない。車体は太宰府をイメージさせるイラストでフルラッピング。車内の化粧板も各車ごとに異なる和文様柄に変更し、6両編成中1両の一部座席を撤去して、観光PRコーナーを設けるといったものであった。
この「旅人」は太宰府を訪れる観光客にアピールしたが、観光専用でもない。西鉄福岡(天神)~太宰府間の急行や、西鉄二日市〜太宰府間の普通へ重点的に運用されたものの、他の8000形と同様、従来通りの通勤・通学列車にも使われている。
「旅人」に続いて、2015年には同じく8000形の改造で「水都」も登場した。これは水郷として知られる柳川への観光をアピールするための列車で、デザインは柳川にふさわしいものとされたが、基本的な改造の方針は「旅人」と同じ。車内設備的に、通勤・通学列車に充当しても差し支えないようにされ、実際には特急中心に運用されている。