冬に旬を迎える食べ物として、牡蠣が挙げられるだろう。11月くらいからさまざまな飲食店で「牡蠣フェア」が組まれ、生牡蠣や牡蠣鍋など多種多様なメニューが展開されている。牡蠣の中でも広島産のものは有名だ。人気を博しているが、どうして有名なのだろうか。

……という訳で、

  • 広島産牡蠣って何で有名なの?

実際にその漁の現場を見に来た。ちなみに朝7時の洋上なので、めちゃくちゃ寒い。

  • 広島産牡蠣って何で有名なの?

今回は、広島県の島田水産で、牡蠣の水揚げを見せてもらった。同社は牡蠣の養殖を行っており、これからちょうど牡蠣筏(いかだ)から牡蠣を揚げるところだ。

  • 広島産牡蠣って何で有名なの?
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おお! すげえ。
約9mの垂下連(すいかれん:牡蠣がびっしりと付いた針金)が持ち上げられるのは、かなり迫力がある。あの黒い点の全てが牡蠣なのか。

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収穫された牡蠣は洗浄・浄化された後、牡蠣打ち(1粒ずつ剥き身にする作業)が施される。せっかくなので、牡蠣小屋で焼いて食べさせてもらった。「朝一から牡蠣か……」と思っていたが、

  • 広島産牡蠣って何で有名なの?
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うまっ……!
プリッとした身に、うま味がぎゅっと詰まっているじゃん。これは何個でもいけるわ。

広島県って牡蠣生産量が日本一なんですって

さて、牡蠣のうまさは分かったが、そもそもなぜ広島県で牡蠣が有名なのだろう。広島県商工労働局観光課の人に聞いてみた。

福田: 「広島県の牡蠣がめちゃくちゃおいしいのは分かりました。では、なぜ牡蠣が有名なんですか?」


観光課: 「はい。まず、広島県の牡蠣生産量は日本一なんです」


福田: 「えっ、すごい。何でそんなに多いんです?」


観光課: 「それは歴史の長さも関係していますね。広島県での牡蠣養殖は、約450年前の室町時代の文献で確認されているんです」


福田: 「予想以上に昔だった」


観光課: 「そして、先ほど見ていただいた『筏垂下式(いかだすいかしき)』を戦後から導入し、生産量が飛躍的に伸びたんです」


福田: 「水揚げの瞬間はすごかったです。確かにめっちゃ取れるのは納得ですね。ただ、それって別に広島じゃなくてもいいのでは?


観光課: 「よくぞ聞いてくれました。実は広島湾にも秘密があるんです! 広島湾は島や岬に囲まれており、波が静かなんですよ」


福田: 「確かに! 私は太平洋に面した町出身なんですけど、海がかなり穏やかだなって感じましたよ」


観光課: 「波は静かだけど、潮の流れが適度にあるので、牡蠣が育ちやすい環境なんです」


観光課: 「そしてさらに! 広島湾に流れ込む河川水によって、植物プランクトン(牡蠣の大好物)の増殖促進され、それを食べた牡蠣がぷっくりと育つんですよ」


福田: 「すげえ畳み掛けてくる……! つまり、広島湾は牡蠣が育てやすい環境なんですね。それで養殖もはかどるし、豊富な植物プランクトンでぷっくりと育つと」


観光課: 「まさに牡蠣ングダム!


福田: 「……今日はありがとうございました」



広島県産の牡蠣は、積極的に進めた養殖技術の向上と、恵まれた広島湾の環境によって、全国シェア68.1%を占める日本一の生産量を誇っている。そうした"牡蠣愛"ゆえか、広島県は今冬、県内の小学生向けに「牡蠣」という漢字だけを練習するドリル「広島 牡蠣とり帳」までも作ったそうだ。質と味は言わずもがなだろう。気になるなら、ぜひ広島産の牡蠣を食べに行ってみてほしい。