お正月飾りなど役目を終えた縁起物。どう処分したらよいのかわからなくて、しまいっぱなし……という人も多いのではないでしょうか。
毎年1月に神社などで行われる、役目を終えた縁起物を焼くおたき上げ、いわゆる『とんど焼き(どんど焼き)』に持って行くのがよいとされます。でも、お正月飾りはともかく、お守りやお札など、処分する目安がよくわからないものもありますよね。
そこで、縁起物の効き目や、おたき上げの由来、燃やせるものとそうでないものについてのお話を、伝統的な『とんど焼き』を見ることのできる鳥越神社の宮司、鏑木さんに伺いました。
お守りや破魔矢、お札などの効き目のある期間は、どのくらいなのですか? よく「1年」とは聞きますが……。
「お札やお守りは、薬ではありませんので、効き目や消費期限はありません。日本では、大みそかに大掃除をして門松を飾り、神棚に新しい年の神様をお迎えするためにお札をおまつりします。それは、お札を変えることにより、よみがえりのお力をさらにいただくために行われてきた、日本の習わしです。
1年間お守りいただいたお札は、受けた神社にお礼をしてお納めします。お守りも、1年と言わずに、心願がかなえばお返ししてよいのです。その人が何を願って受けたものか、それぞれの方にあると思います。それぞれの時期にお返しください。
伊勢神宮は20年に1度遷座され、よみがえりの御遷宮の神事が行われることで、新しいお力を人々に頒(わ)かたれます。家庭や会社の神棚のお札も1年に1度、決められた時期に取り換えることにより、新しいお力をいただくのです。それが、師走の頃に当たるわけです」
(※遷座=神様を他の場所に移すこと)
では、おたき上げとはいつごろから始まった行事なのでしょうか?
「平安時代に宮中で行われていた行事が、江戸時代に民間行事として行われるようになり、現在に至る行事です。地方により左義長(さぎちょう)、どんどん焼き、どんどなどとも言いますが、当社では、尊いお札などをたき上げることから『とんど焼き(とほとがなまった)』と言っております」
鳥越神社のとんど焼きで受け付けてくださる縁起物はどのようなものがありますか?
「基本的には、鳥越神社のお札、お守りや守護矢、絵馬などの当社の授与品をお受けいたします。受けられた神社へお納めいただくのが基本だと考えてください。神棚に使われた注連縄(しめなわ(大根締め・ゴボウ締め))、お正月の輪飾りも納められますが、しめ飾りはだいだいなど燃えないものは外してください。なお、当社では納所に納められる期間は、1月5日~8日午前中までです」
とんど焼きに持ちこめないもの・燃やせないものがあれば教えてください。
「縁起物の熊手やだるまは、お求めの市が開かれた神社・お寺へお問い合わせの上、お納めください。また、注連縄(しめなわ)やお札などの包み紙はゴミになりますので、極力お持ち帰りください。
なお、お供えのお餅は、11日に鏡開きにて食べることにより、神様のお力をいただくものです。おたき上げするものではありませんので、受け付けいたしません。また、寺院のお札は、神社の祈祷とは別の祈祷が行われております。受けられたお寺にお礼をしてお納めください」
なお、鳥越神社のある地域では、七草とともにお正月のお祝いをすませたとしてお正月飾りをとりはらい、1月8日にとんど焼きを行うことになっており、2018年も1月8日午後1時から行われるとのことです。自分の住んでいる地域の神社のとんど焼きがいつか調べて、お守りなどを納めに行くとよいですね。
《取材協力》
鳥越神社 http://www004.upp.so-net.ne.jp/kab_ra/