アマチュアからプロフェッショナルまで幅広いユーザーに愛用されているDigital Audio Workstation(DAW)、Steinbergの「Cubase」。音楽制作ソフトウェアとして、先進性と多彩な機能性から多くのクリエイターに支持されている。昨年末、最新バージョンとなるCubase 9.5シリーズが登場、オーディオエンジンの完全64bit対応など、さらなる進化を遂げた。今回は、そんなCubaseを中心とした音楽制作環境をさらに強力&快適にすべく、Native Instrumentsのスマートキーボードコントローラー「KOMPLETE KONTROL S-Series」(KOMPLETE KONTROL MK2)を追加し、そのセットアップ方法や使い勝手についてレポートしていこう。 KOMPLETE KONTROLは、昨年末にリリースされたバージョン1.9.2で、待望のCubaseとNuendoへの対応を果たしている。
最新アップデートを導入するだけで簡単セットアップが完了!
「KOMPLETE KONTROL S49 / S61 mk2」は、高品位な鍵盤に加え、高解像度のカラースクリーン、DAWとの高度な連携機能、さらには厳選されたソフト音源などを兼ね備えたスマートキーボードコントローラーとして、最近ではプロフェッショナルのスタジオでもほぼ定番化している。このKOMPLETE KONTROLキーボードと、Cubase(今回はCubase Pro 9.5を使用)を組み合わせて利用するには、最初にNative InstrumentsのNative Accessソフトを介して、KOMPLETE KONTROLソフトをダウンロード(無償)しておく必要がある(Ver1.9.2以降)。このアップデートにより、CubaseまたはNuendoを使用時に、KOMPLETE KONTROLキーボード本体上のカラースクリーンにフィードバックが表示され、トランスポートの完全制御、トラックのナビゲーション、ミックスなど高度な連携が可能となるのだ。なお、最新のKOMPLETE KONTROLソフトを適用した状態で、Cubaseを起動しKOMPLETE KONTROLキーボードをUSB接続すると、自動的にデバイスが認識され各種機能が利用可能となるので、基本的にユーザーは設定などをまったく意識する必要はない。
Cubaseを手元で直感的にコントロールし録音や曲作りに集中する
KOMPLETE KONTROLキーボードが、Cubaseに正しく認識されると、本体左側にあるトランスポートボタンなども使用可能となる。対応するコントロールは、再生、リスタート、録音、停止、ループのオン/オフ、メトロノームのオン/オフ、クオンタイズ、オートメーションのオン/オフ、アンドゥ/リドゥ、ソロ、ミュート、トラックセレクトなどとなっており、そのおかげで録音や制作作業の途中でPCのキーボードやマウスに手を伸ばすようなシチュエーションも激減する。また、ミキサーのコントロール機能も装備されており、音量や定位のバランスを本体のノブでダイレクトに調整できる。クリエイターは、Cubaseのトランスポートやミキサーを手元のボタンとノブから直感的にコントロールすることで、より録音や曲作りに集中できる環境を実現できるというわけだ。一見するとささいな違いに思えるかもしれないが、創造的な思考や作業が中断されることなく行えるのは非常に重要で快適なことなのだと、個人的にも今回のレビューを通じて再認識させられた。
光って教える初心者にも優しい「ライドガイド」は上級者にも便利
KOMPLETE KONTROLキーボードの鍵盤には、プロからも高い評価を得ているFatar社製の高品質キーベッドが採用されており、滑らかな弾き心地は素直に演奏を楽しめた。また、鍵盤上部に搭載されたマルチカラーLEDライトは、スケールなどのさまざまな状況を光とカラーで教えてくれるライドガイド機能を備えている。これに加え、鍵盤演奏が苦手といった初心者には、白鍵だけで演奏を行える「イージーモード」や、指1本でコード演奏が行える「コードモード」なども用意されているのも見逃せないポイントだ。なお、このライトガイドは、サンプルの種別やアサイン位置、キーゾーンなども明示してくれるので、上級者にとってもサウンドを視覚的に把握でき、制作シーンのみならず、ライブシーンなどでも重宝することだろう。