トヨタ自動車はこのほど、都内でメディア向けにコネクティッドカー勉強会を開催した。勉強会ではトヨタ自動車 コネクティッドカンパニー コネクティッド統括部 部長の山本昭雄氏が、コネクティッドカーを取り巻く環境などについて説明した。

  • トヨタ自動車 コネクティッドカンパニー コネクティッド統括部 部長の山本昭雄氏

    トヨタ自動車 コネクティッドカンパニー コネクティッド統括部 部長の山本昭雄氏

2020年にコネクティッドカーの普及率を2020年までに新車の7割へ

コネクティッドカーは、2020年あたりから普及の加速が予測されており、これは渋滞悪化や労働力不足、環境規制など社会課題解決に向けて「人・モノ・情報」の流れを変えていく必要性があるほか、「電動化(パワートレインの変化)」「情報化(ナビやスマホとの連携)」「知能化(自動運転につながる動き)」が進行しているからだという。

山本氏は「コネクティッドをはじめとした情報化は電動化、知能化を含めた基盤となっている。例えばパワートレインは電気自動車の普及に伴いスマートグリッドがコネクティッドでつながる。また、自動運転では『クルマ』の自律化により、モニタリングが必要なためコネクティッドの技術が活用されている。さらに、重要なのはクルマがクラウドとともに進化し、車内連携から社会システムと連携し『いいクルマ』の定義が多様化していく。つまり、単独のクルマから、つながるクルマを経て社会の一員になると考えている」との認識を示す。

  • コネクティッドカー

これまで、クルマは走る・曲がる・止まるだったが、これに「つながる」を加えると、商品としてはクルマ単体からクルマ+クラウド、役割の面では移動手段から移動+社会デバイス、付加価値ではユーザーの価値から社会全体の価値、経営視点では従来の製造販売のバリューチェーンから新たなサービス・コト作り、ピラミッド型のサプライチェーンからアライアンス・協業、エコシステムの構築がこれからのクルマだという。

また、これからのクルマを考えていく上での視点として、ドライバーには感動的な移動体験、社会全体では社会課題解決、経営ではオペレーション・事業変革が必要だと指摘している。では、トヨタが考えるコネクティッドカーとは何か。同社では、コネクティッドカーの普及率を2020年までに新車の7割、2025年には保有台数の5割を目指している。

同氏はコネクティッドカーについて「車両にDCM(Data Communication Module:無線通信装置)を搭載し、車両の電波アンテナを通じて直接外部と通信する。これにより、車内機器に加え、車内の神経とも言えるCAN(Controller Area Network:ネットワークデバイスのシリアルバス)とつながり、ブレーキやワイパーの動きなど、すべてのデータが外部と接続できる。これまでは、ドライバー視点ではクルマの運転をしながら周辺に配慮しなければならなかったが、つながることでクルマ自体が外部とつながるため、さまざまな情報をドライバーに提供することを可能とし、高度運転支援が実現できる」と、説く。

  • コネクティッドカーの概要

    コネクティッドカーの概要

  • DCMの外観

    DCMの外観