パナソニックは、2018年2月に迫った「平昌2018冬季オリンピック・パラリンピック」の公式スポンサーです。競技会場や大会運営をサポートするソリューション、音響や映像の最新機器を提供し、オリンピックに向けたマーケティング活動なども行っていく予定です。12月26日に行われた記者説明会の内容を紹介しましょう。
どんな機器を提供する?
パナソニックは、1988年のカルガリー大会からオリンピック・パラリンピックのTOPスポンサーを務めており、今回で30周年を迎えます。平昌2018冬季オリンピック開閉会式では(2016年夏のリオに続き)、最新機器やプロジェクションマッピング技術を核としたソリューションを提供、開閉会式の演出を支えます。実際には、どのような機器が提供されるのでしょうか。例えば、IBC(国際放送センター)にて、3万ルーメンの高輝度4Kプロジェクター×4台を使って「8Kシアター」を実現。オリンピックでは史上初となる、HDR対応で大会の模様を伝えます。
また、プロ用の音響機器であるRAMSAのスピーカーを4会場に設置します。冬の雪山という過酷な環境で運用するため、パナソニックは2017年2月にもイベントでテスト運用しており、万全の体制で臨みます。ゆくゆくは2020年の東京オリンピックにも納入予定とのこと。このため、今回の平昌2018冬季オリンピックでの実績が重要な試金石になるとの話でした。
パラリンピックでは、IPC(国際パラリンピック委員会)との連携により、パラアイスホッケーにて360度カメラによる撮影が行われます。こちらはまだテスト段階とのことで、ライブ配信は予定していません。ひょっとしたら2020年の東京オリンピックにおいて、何らかの競技がVRゴーグルなどの機器でライブ視聴できるようになるかも知れません。
映像面では、冬季大会としては過去最大となる42画面(面積にして1,640平方メートル) のスクリーンを納入します。フィギュアスケートの競技場内では「マルチアングル動画配信システム」を構築し、様々な角度から映像・音声を楽しめる予定です。観客のスマートフォンやタブレット端末を利用し、任意でリプレイ・スロー・ズーム操作が行えるようになるとも。
安心・安全な大会運営を担うセキュリティカメラにも注力しており、こちらは1,079台を納入予定。そしてパナソニックのカメラレコーダー「P2HD broadcast camera system」は、実に13大会目となる「公式記録システム」に選ばれました。関係者は「後世に残る映像撮影が行えれば」と意気込みます。
オリンピックの映像音響の革新に貢献
パナソニックは日本企業としては初めて、オリンピックにおいてIOC(国際オリンピック委員会)と2024年まで、パラリンピックにおいてIPC(国際パラリンピック委員会)と2020年まで、「ワールドワイド公式スポンサー契約」を交わしました。
説明会に登壇した、パナソニック ブランドコミュニケーション本部の沼田文隆氏は「弊社はこれまで、オリンピックにおける映像音響機器技術などの革新に貢献し、大会運営を支え続けてきた」と話します。パートナー協賛を通じてスポーツを通じた社会貢献、グローバルでのブランド価値向上、オリンピック・パラリンピックを活用した事業拡大、商品・技術のショーケース機会創出などを狙うと述べました。
また、パナソニックのホームページや公式Facebookにおいて、機器納入の実績を紹介したり、大会期間中の活動を発信していく方針です。オリンピック・パラリンピックの選手を起用した広告にも力を入れるほか、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの公式パソコンに選ばれたLet'noteシリーズの露出も増やしていくそうです。
質疑応答において、記者からスポンサーシップ契約を結ぶメリットについて質問があがりました。沼田氏は「例えばBtoBのビジネスにおいては、オリンピックへの納入実績が大きなインパクトになる。絶対に失敗が許されない大舞台で使われたという実績が、ビジネスの展開で大きな意味がある」と説明していました。