何かとバタバタする師走に入り、大掃除に取り掛かり始めた人も多いのではないだろうか。先日、マイナビニュースでは「年末の大掃除で最も大変だと思うところ」を読者に尋ねたところ、キッチンの換気扇、窓・網戸、キッチンのガスレンジ・コンロ周辺(IHを含む)の3つが上位になった。
そこで今回は、ライオンのリビングケアマイスターである吉井和美さんに、家庭でもできる大掃除のテクニックを聞いてみた。
キッチンの換気扇をきれいにする方法は?
──キッチンの換気扇の油や埃に効果的な掃除方法を教えてください
まず、フィルターやファンなどの取り外せる部品は外して掃除しましょう。換気扇には、調理で発生した油煙や水蒸気だけでなく、同時に室内のホコリも吸われるため、油とホコリが混ざった汚れが付着しています。分厚くなった汚れには、洗剤をかける前に、先端が斜めになっている割り箸などをヘラのように使って汚れをこそげ落とし汚れの層を薄くしておくと、洗剤が効きやすくなります。
──換気扇の分解が難しい場合は、どうすればいいですか?
換気扇の汚れをそのままにしておくと、換気の能力が低下してしまうことも。そうなると、調理で発生した油煙や水蒸気が換気されずに室内に広がり、室内を汚してしまうことにつながるため、こまめなお掃除ができれば1番です。しかし、換気扇の分解が難しいのであれば、できるところだけでもお掃除しましょう。
まずフィルターや整流板などの取り外せる部品は、外してシンクに並べ、全体にまんべんなくレンジ用洗剤をスプレーして2~3分おきます。汚れが浮いてきたら古布などでふき取りましょう。
最後に水洗いをしてよく乾かし、元通りにセット。汚れが一度で落ちない時は、長時間おくのではなく、「レンジ用洗剤をスプレーして2~3分おく→汚れをふき取ったあと水洗い」をワンセットとして繰り返しましょう。冬場なので、水洗いはお湯を使った方が作業が楽ですよ。
また、レンジフードなど外せない部分は、レンジ用洗剤を布巾などにスプレーして、汚れた部分をふき取り、その後に水ぶきをしましょう。目に入る恐れがあるので、目より高い場所には直接スプレーしないようにしてくださいね。
──洗剤を選ぶポイントを教えてください
洗剤は、レンジ用のものを選びましょう。ベタベタ汚れや固くなった油汚れは、食器用洗剤ではなかなか落とせません。レンジ用洗剤は、固くなった油汚れをふやかして分解する「アルカリ剤」や、溶かして落とす「溶剤」が配合されていて、ガンコな油汚れも落とせるように作られています。
窓・網戸掃除のポイントは?
──ガラス窓に拭き跡が残らないようにする方法はありますか?
黒っぽい服を着て窓の内側と外側でペアになって拭くと、汚れが見やすくなり、拭き跡の見落としが減ると思います。また、タオルのような毛羽の多いもので拭くと、毛羽がガラスに残ってしまいがちなので、着なくなったTシャツや肌着などの毛羽の少ないもので拭きましょう。スクイージなどの道具を使うのもいいですね。
また、ガラス用の洗剤の多くは、拭き跡が残りにくいように工夫されてるため、窓ガラス用のものを使用しましょう。
──網戸の掃除は、場所も時間も必要で大変。時短できる効率的な方法はありますか?
網戸の掃除はなかなか大変ですよね。網戸は、一方から力をかけすぎると、ネットがゆるんでしまうことがあります。掃除機で網目についたホコリを吸い取ったあと、住宅用洗剤をスプレーしたスポンジ2つで内側と外側から挟むように拭き、仕上げに2枚の雑巾で網戸をはさんでふき取りましょう。
時間が経ったレンジ・コンロの汚れを落としたい!
──時間が経過して固まった油汚れなどを効果的に掃除できる方法を知りたいです
ガスコンロの主な汚れは、調理による「こげつき汚れ」と「油汚れ」。トッププレート、グリル排気口カバー、ゴトクなど場所ごとに合わせた掃除方法と洗剤選びで頑固な汚れを落としましょう。
トッププレートについた頑固な汚れは、クリームクレンザーをスポンジにつけ、小さく円を描くようにクルクルとこすりましょう。スポンジの代わりに丸めたラップを使うと、クレンザーの粒子が汚れに直接届き、効率よく汚れを落とすことができておすすめです。また、ベタベタした油汚れが多い場合は、レンジ用洗剤をつけた布でふき取りましょう。
ゴトク、汁受け皿、グリル排気口カバーなどの取り外せる部品の頑固な汚れは、温めて汚れをゆるませてから掃除すると汚れが落としやすくなります。桶やビニール袋に40度前後のお湯をはり、外した部品を浸けます。汚れがゆるんだら、シンクに外した部品を並べ、レンジ用洗剤をスプレーして2、3分おき、スポンジやブラシでこすります。
こげつき汚れが多い場合は、クリームクレンザーを使うといいでしょう。その場合、スポンジの代わりに丸めたラップを使ってこすると、細かいところまで力が行き届いて効率よく洗えますよ。
また、食洗機を活用するのもオススメです。ゴトクや汁受け皿やグリル排気口カバーもそのまま入れられるので、手間いらずです。
ガスコンロの種類によっては、使えない洗剤や道具がある場合があるので、事前に取扱説明書の確認を忘れないようにしましょう。
──上記3カ所以外の場所も含めて、年末の大掃除が楽になるように、日ごろから気を付けるポイントはありますか?
大掃除で家の中をきれいにしたら、ぜひ、その状態をキープしましょう! 例えば浴室をキレイにした後は、浴室用の防カビくん煙剤を使うのがオススメです。除菌成分を含んだ煙が浴室の隅々まで行き渡り、見えないカビの原因菌を除菌して、カビが生えにくい状態になります。
また、トイレでは尿ハネの汚れがニオイの原因になるので、トイレ用のふき取りクリーナーを使って、こまめに「ちょこっと掃除」する習慣をつけるのがオススメ。汚れがつきやすい「便座」や「便器のフチ上」には、トイレ用ふき取りクリーナーを直接スプレーし、丸めたトイレットペーパーで泡を伸ばしながら汚れをふき取りましょう。その後、水ぶきの必要はないので簡単にできますよ。
──吉井さん、ありがとうございました!
プロフィール: 吉井和美さん
ライオンのリビングケアマイスター。掃除用洗剤などの製品開発に約15年間携わり、現在はこれまでの知識を生かし、家事に前向きに取り組めるようなコツやノウハウを幅広く伝えている。ライオンの生活情報メディア Lidea で情報発信もしている。