男性声優12名がキャラクターに扮してラップをする、ラップソングプロジェクト『ヒプノシスマイク』。一線で活躍するラッパーやトラックメーカーもクリエイターとして参加する、本格派な作品づくりが注目を集めている。ティザームービーを公開すればたちまちYouTubeの急上昇ランキングで3位に昇りつめるほど、話題沸騰中の作品だ。舞台は、武力に変わる新しい争いの手段として、「ヒプノシスマイク」を用いたラップバトルが繰り広げられる世界。キャラクターたちは、イケブクロ、ヨコハマ、シンジュク、シブヤと4つのディビジョンに分かれて、互いの領土をかけて争っていく。

浅沼晋太郎(あさぬましんたろう)。1976年1月5日生まれ。岩手県出身。ダンデライオン所属。主な出演は『四畳半神話大系』私役、『マジンカイザーSKL』海動剣役、『あんさんぶるスターズ!』月永レオ役など

マイナビニュースでは全4枚のCDリリースを記念し、各ディビジョンのリーダーを演じるキャストへのインタビューを敢行。第3回に登場するのはヨコハマ・ディビジョンの碧棺左馬刻(アオヒツギ サマトキ)役、浅沼晋太郎だ。左馬刻はヨコハマ界隈を生業にする凶暴なヤクザで、MC NAMEはMr.Hc(ミスターハードコア)。しかし、妹からもらった手作りのお守りを宝物にしているという意外な一面も併せ持つキャラクターだ。そんな左馬刻の魅力や、レコーディング時の様子について語ってもらった。

第1回の木村昴インタビューはこちら
第2回の速水奨インタビューはこちら
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▼ヒップホップが壁を突き破ってきた

――浅沼さんが深くラップに接するようになったのは『ヒプノシスマイク』からとのことですが。

僕は『ダンス甲子園』(※)世代なので、ヒップホップについてはにわか程度の知識はあったんです。B-BOYファッションのブランドとか、パンツの裾を片方だけ上げているのは”拳銃を隠してないサイン”みたいな背景とか、たしなむ程度には知っていました。あと、僕はbpmというユニットを組んでいるんですけど、メンバーのNAO-Gがガッツリとヒップホップに関わっているんですよ。彼と一緒にいると自然とそのあたりのことが耳に入ってくるので、全然抵抗はなかったです。

(※)日本テレビ系列『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』内で90年より開始された、高校生によるダンスバトル企画

――ラップを聴くこともあまりなく?

これまで、ラップオンリーの曲はそれほど聴いたことがなかったんですよ。Dragon AshだったりHYだったり、メロディがあって歌の中にラップパートがある曲なら触れてはきました。世代的に、小沢健二さんとスチャダラパーの「今夜はブギー・バック」がリアルタイムでのヒット曲だったのでよくカラオケで歌っていましたね。

――あくまで音楽の中での1ジャンル、という接し方だったんですね。『ヒプノシスマイク』に出演が決まったときのお気持ちは?

まず「楽しそうだな」と思いました。ヒップホップは、ほかの音楽ジャンルに比べるとアニメやゲームといったコンテンツとの親和性は低かったと思います。なので楽曲を聴いたら、ここまでゴリゴリなテイストだとは思ってなかったので、びっくりしましたね。

――そうですね。木村昴さんが言っていたような「ラップ風」な曲はたくさんありましたけど。

それが、『フリースタイルダンジョン』だったり『HiGH&LOW』が人気になったことで、「今だ!」と壁を突き破ってきたのかなと思います。つくっている方々もここまで踏み込むのは挑戦だったのかなと。もちろん僕たちも挑戦です。それが1st LIVEであれだけ盛り上がったというのが、びっくりしましたし、素直に嬉しかったですね。

――ラップに挑戦する上で、特別に意識したことはありましたか?

「僕たちがやるからには」というところを考えましたね。やっぱりラップに関しては付け焼刃なのは否めないじゃないですか。そこで、「声優の武器はなんだろう」と考えたら、当たり前ですけど「演じる」ということなので、「演じる」ことを意識しました。

――自分じゃなくて、キャラクターがラップをするということですね。

やっぱり慣れないテクニックを使うときは自分の素が出ちゃいそうになるんですよ。なので、ずっと「左馬刻だったらどういうラップするんだろう」と。「こういうことをやったら強そうに、ワルそうに見えるんじゃないか」というのを想像して、フロウに盛り込みました。

――仮歌をなぞるだけではなくて、それを踏まえた上で、どうキャラクターがラップをするかを考えて臨んだということですね。

笑いながらラップをするとか、わざとテンションを落としてボソボソ喋るとか、まず自分の想像したままに歌ってみて、ディレクターさんの反応を受けて作っていきました。全員で歌っている「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-」では、左馬刻ソロの最後のパートで仮歌よりも早くまくし立ててみるとか。現場で作っていったところが大きいですね。

▼サンプリングの元ネタにも注目してほしい

――浅沼さんが感じる左馬刻の魅力はどんなところですか?

まさにバッドボーイなところです。彼のスタイルはギャングスタ・ラップなんですけど、もうこいつのためにあるようなジャンル(笑)。一度はみんな、ワルそうな服とか、ワルそうな曲といった「スタイルとしてのワル」に憧れを持つことがあると思うんです。そういうのを一手に引き受けたキャラですよね。

――浅沼さんもワルに憧れた経験が?

ワルのファッションには憧れました。学生時代にはオーバーサイズの服を着ていましたね。実はいま着ているこの衣装も私物なんですよ。

――そうなんですか!

「やっぱりヨコハマ・ディビジョンなので、ウェストサイドだろうな。じゃあ西海岸のブランドかな」と思って、家からJOYRICHの服を引っ張り出してきました。真冬に着る服だったので、ライブ中は暑かったですね(笑)。

――そういうワルの片鱗が浅沼さんの中にもあったということでしょうか。

僕は気の弱い人見知りなのでワルには程遠いです(笑)。

――ヨコハマ・ディビジョンのリーダーとして、気になっているほかのディビジョンはありますか?

それぞれに魅力があって全部気になります。イケブクロ・ディビジョンは木村昴くんがいるから、ラップのクオリティが半端ないですよね。シブヤ・ディビジョンはわかりやすく女の子が飛びつきそうな設定とビジュアル。ぶっちゃけ、ここが一番人気になると予想しています。シンジュク・ディビジョンは楽しいですね。1st LIVEの開演前に各楽曲が流れていたじゃないですか。そのときにお客さんたちが「シャンパンタワー!」ってコールしていたのを聞いて、「あ、今日もしかしたら盛り上がるかも?」 と思わせてくれました。あと、速水奨さんが大先輩でありながら、いまだなお、こうして新しいことに挑戦してくださっているのが、何よりもすごいと思います。

――『ヒプノシスマイク』にかかわった後、ラップに対する見方は変わりましたか?

「この地域だと、こういった楽曲が生まれやすい」みたいなことについて興味を持つようになりましたね。横浜はレゲエラップも盛んらしいので、同じヨコハマ・ディビジョンの毒島メイソン理鶯はレゲエラップでもアリだなと思いました。

――今後、『ヒプノシスマイク』が展開していく中で楽しみなところを教えてください。

ヒップホップってサンプリングの文化じゃないですか。左馬刻はヤクザなので『新・仁義なき戦い。』の曲、『キル・ビル』でも使われた「チャーラーラ!」ってフレーズが一瞬でも入ってたら面白いですねって提案したことがあるんですよ。そうしたら本当に入っていたんです。偶然、作曲者とアイデアが合致したのかもしれないですけど、そういうHIPHOPならではの楽しさが増えていくといいですね。あと、イケブクロ・ディビジョンの山田一郎はオタクなので、歌詞の中に『新世紀エヴァンゲリオン』の雰囲気が垣間見える。キングレコードさんの音楽とオトメイトさんのイラストが組んで生み出すコンテンツとして、そういった「ギリギリ」を、どう狙っていくのかが楽しみですね(笑)。

ラストとなる第4回に登場するのは、シブヤ・ディビジョン「Fling Posse」のリーダー、飴村乱数を演じる白井悠介。お楽しみに

▼『ヒプノシスマイク』CDシリーズ商品情報


・第1弾
イケブクロ・ディビジョン「Buster Bros!!!」
CDタイトル:「Buster Bros!!! Generation」
発売日:10月25日
定価:1,852円(税抜)
収録内容:
M1. 俺が一郎 / 山田一郎(CV.木村昴)
M2. センセンフコク / 山田 二郎(CV.石谷春貴)
M3. New star / 山田 三郎(CV.天﨑滉平)
M4. イケブクロ・ディビジョン Buster Bross!!! Drama Track①
M5. イケブクロ・ディビジョン Buster Bross!!! Drama Track②
M6. 俺が一郎(off vocal ver.)
M7. センセンフコク(off vocal ver.)
M8. New star(off vocal ver.)
封入特典:Buster Bros!!!ロゴステッカー

・第2弾
ヨコハマ・ディビジョン「MAD TRIGGER CREW」
CDタイトル:「BAYSIDE M.T.C」
発売日:11月15日
定価:1,852円(税抜)
収録内容:
M1. G anthem of Y-CITY / 碧棺 左馬刻(CV.浅沼晋太郎)
M2. ベイサイド・スモーキングブルース / 入間銃兎(CV.駒田航)
M3. What’s My Name? / 毒島メイソン理鶯(CV.神尾晋一郎)
M4.ヨコハマ・ディビジョン MAD TRIGGER CREW Drama Track①
M5.ヨコハマ・ディビジョン MAD TRIGGER CREW Drama Track②
M6. G anthem of Y-CITY(off vocal ver.)
M7. ベイサイド・スモーキングブルース(off vocal ver.)
M8. What’s My Name? (off vocal ver.)
封入特典:MAD TRIGGER CREWロゴステッカー

・第3弾
シンジュク・ディビジョン「麻天狼(マテンロウ)」
CDタイトル:「麻天狼-音韻臨床-」
発売日:12月6日
定価:1,852円(税抜)
収録内容:
M1. 迷宮壁 / 神宮寺寂雷 (CV.速水奨)
M2. シャンパン ゴールド / 伊弉冉 一二三 (CV.木島隆一)
M3. チグリジア / 観音坂独歩 (CV.伊東健人)
M4. シンジュク・ディビジョン 麻天狼 Drama Track①
M5. シンジュク・ディビジョン 麻天狼 Drama Track②
M6. 迷宮壁(off vocal ver.)
M7. シャンパン ゴールド(off vocal ver.)
M8. チグリジア(off vocal ver.)
封入特典:麻天狼ロゴステッカー

・第4弾
シブヤ・ディビジョン「Fling Posse」
CDタイトル:「Fling Posse-F.P.S.M-」
発売日:12月27日
定価:1,852円(税抜)
収録内容:
M1. drops / 飴村乱数(CV.白井 悠介)
M2. シナリオライアー / 夢野幻太郎(CV.斉藤壮馬)
M3. 3$EVEN / 有栖川帝統(CV.野津山幸宏)
M4. シブヤ・ディビジョン Fling Posse Drama Track1
M5. シブヤ・ディビジョン Fling Posse Drama Track2
M6. drops(off vocal ver.)
M7. シナリオライアー(off vocal ver.)
M8. 3$EVEN(off vocal ver.)
封入特典:Fling Posseロゴステッカー