JR東日本は23日、新型車両E353系の特急「スーパーあずさ」の営業運転開始を記念し、松本駅・新宿駅で出発式を開催した。特急「スーパーあずさ」は12月23日から4往復がE353系に。来年3月のダイヤ改正から全列車E353系での運転となる予定だ。
新型車両E353系は「伝統の継承、未来への躍動」をコンセプトに、「あずさ」の伝統色を継承した「あずさバイオレット」、松本城の青みがかった漆黒を表現した「キャッスルグレー」、南アルプスの雪色を表現した「アルパインホワイト」などを外観カラーに採用。内装はグリーン車が「機能性と高揚感、クラス感」、普通車が「南アルプスと梓川のきよらかさ」をコンセプトとしており、ともに横4列(2列+2列)の配置で、各座席にノートパソコンを置けるテーブルとコンセントを設置した。一部車両に荷物置場も設置された。
最高速度は既存のE351系と同じく130km/h。E351系の制御付き自然振り子方式(傾斜角度は最大5度)に対し、E353系では空気ばね式車体傾斜方式(傾斜角度は最大1.5度)を採用しており、E351系と比べて左右の揺れが少なく自然な乗り心地になったという。走行中の揺れを軽減する動揺防止制御装置も全車両に搭載した。
E353系のデビューとなった12月23日、朝の時点で下り「スーパーあずさ1・11号」と上り「スーパーあずさ4号」はグリーン車・指定席ともにほぼ満席、他のE353系を使用する列車もグリーン車はほぼ満席だったという。松本駅では上り「スーパーあずさ4号」(松本駅6時51分発・新宿駅9時27分着)に合わせ、松本駅1番線ホームにて出発式を開催。JR東日本執行役員長野支社長の伊藤悦郎氏、松本市長の菅谷昭氏、松本が舞台の映画『orange -オレンジ-』に出演した女優の清水くるみさんらが出席した。
伊藤氏は挨拶の中で、新型車両E353系について「レジャーに、ビジネスに、快適に利用できる設備としています。車窓の景色も含め、素晴らしい鉄道の旅を提供できるものと確信しています」と述べた。菅谷氏とともに松本駅の1日駅長を委嘱された清水さんは、「松本はすごく縁があり、映画から始まり、1日駅長も2回目。第2の故郷と思っています」とコメント。出発式では出席者によるテープカットの後、浅間火焔太鼓保存会による演奏の中、松本駅長と1日駅長の清水さん、菅谷氏による出発合図が行われた。E353系の特急「スーパーあずさ4号」は6時51分に松本駅を発車し、新宿駅へ向かった。
新型車両E353系は12月23日の時点で量産車3編成(基本編成9両・付属編成3両)が導入され、下り「スーパーあずさ1・11・23・29号」、上り「スーパーあずさ4・18・22・36号」の4往復に使用される。所要時間に変更はないとのこと。今後さらに2編成(うち1編成は量産先行車を量産車化改造した編成)導入する予定で、既存のE351系を置き換え、2018年3月17日のダイヤ改正から「スーパーあずさ」はすべてE353系での運転となる。