新型車両のデビューや長年活躍した車両の引退、全国で行われるダイヤ改正など、めまぐるしく変化する鉄道業界。鉄道ファンならそうした情報をいち早く入手したいところだろう。書籍やウェブサイトなど情報経路は色々とあるが、鉄道ライターとして活躍する人たちは日頃どのように情報収集を行っているのだろうか。

  • 鉄道に関する情報収集はどのような形で行っている? (写真はイメージ)

今回は本誌でも活躍中のライター4名(杉山淳一さん、井上孝司さん、小林拓矢さん、新田浩之さん)に、鉄道に関する情報収集の方法を尋ねてみた。

「基本的には鉄道会社の公式サイトから」(杉山淳一さん)

本誌連載「鉄道トリビア」「鉄道ニュース週報」でもおなじみの杉山淳一さんは、基本的に各鉄道事業者の公式サイトなどから最新情報をチェック。スクリプトを組み、巡回させて新着情報をチェックしているそうだ。また、Googleの「ニュース検索」で日時指定し、キーワード検索するといった方法も使っているとか。書籍資料は、図書館の在庫検索をあたり、なければAmazonで入手。「鉄道趣味誌は毎号買わず、個人的に興味のある特集があれば買うという感じです」とのことだった。

毎月読む雑誌は「鉄道ジャーナル」「鉄道ファン」(小林拓矢さん)

小林拓矢さんの場合、ウェブでは「東洋経済オンライン」などで鉄道関連のニュースをチェック。ダイヤ改正の発表時期には、鉄道各社のプレスリリースをチェックしているそう。時刻表は「JTB時刻表」や「マイライン東京時刻表」を大きなダイヤ改定があるたびに購入する。鉄道雑誌は「鉄道ジャーナル」と「鉄道ファン」を毎月読んでいるとのことだった。その他にも、駅の中を歩いたり、電車の中で見かけたりしたものから情報を収集し、記事のネタにすることも多いという。

「大型書店で鉄道ファンの関心事、流行をチェック」(新田浩之さん)

新田浩之さんの場合、鉄道関連のウェブサイトや「鉄道ファン」「鉄道ジャーナル」といった鉄道雑誌をつねにチェックするほか、「定期的に大型書店に行き、鉄道ファンの関心事、鉄道に対する流行を追うことも忘れていません」とのこと。海外(中東欧・ロシア)の鉄道情報もチェックする新田さんだが、まず欠かせないのが「ヨーロッパ鉄道時刻表」で、他にもイギリスの鉄道サイト「Railway Gazette」や、客車の形式を調べたい場合は個人サイト「vagonWEB」を利用しているそう。西欧の鉄道に関する日本語の書籍は書店でも見かけるようになったが、残念ながら中東欧・ロシアの鉄道に関する日本語で書かれた本格的な書籍はまだないそうだ。

「重要なのは現場を訪れ、現物を見ること」(井上孝司さん)

「乗り物とIT」「軍事とIT」「航空機の技術とメカニズムの裏側」などの本誌コラムを執筆する井上孝司さんは、仕事の中心が最新の技術系のため、JR東日本の「テクニカルレビュー」やJR西日本の「技術の泉」など、鉄道事業各社が公開している「技報」が重要な情報源とのこと。さらに、紙媒体に書かれた情報やウェブの情報もさることながら、「重要なのは現場を訪れて、自分の眼で現物を見ること」だと語る。現場や現物を見て記録することで、初めて気付いたり、発見したりすることがあるようだ。


鉄道ライターはウェブでの情報収集だけでなく、鉄道に関する専門的な情報が豊富な雑誌や書籍を購入する、現場に足を運ぶなどの行動も大切にしていることがうかがえる。自分の目や耳で直接確かめることにより、インターネットだけでは得られない、貴重な「生の情報」が入手できるのかもしれない。

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