自分が選んだ自治体に寄付をすると、寄付金額のうち2,000円を超える分は所得税と住民税が控除され、更にその土地の特産品をはじめとするお礼の品が届くふるさと納税。お礼の品である返礼品の競争が過熱し、2017年4月に総務省から全国の自治体に返礼品の見直しが通達されました。

各自治体により返礼品の見直し状況はまちまちですが、今年中にふるさと納税しておけば来年度の節税につながることは確か。今回は年末間近のふるさと納税の注意点についてご紹介します。

まずは基本から。ふるさと納税はどんな手順でやればいいの?

まずは、ふるさと納税の基本である手順から見ていきましょう。

  • ふるさと納税の手順

ふるさと納税をするときは、まず始めに寄付金額を決めます。実質的な自己負担が2,000円に収まる寄付金額の上限は、給与年収や家族構成によって異なるので注意が必要です。

次に寄付する自治体を選びます。この自治体選びが実は至難の業。数ある中からどこへふるさと納税をしようか、迷ってしまいますよね。そこで、「ふるさとチョイス」や「さとふる」など、ふるさと納税のポータルサイトなどを使えば、お礼の品の種類から自治体を検索したり、人気ランキングをチェックしたりすることもでき、簡単に検索することができるのでとても便利です。

寄付する自治体を選んだら、各自治体のホームページやポータルサイトから寄付を申し込みます。電話での依頼が必要な自治体もありますが、年末までの駆け込み寄付はネットで申し込める自治体で行う方がラクに手続きができます。

自己負担額が2,000円で済む上限の目安は?

前述した通り、ふるさと納税の自己負担が2,000円で済む寄付金の上限額は、給与収入と家族構成によって異なります。例えば年収300万円のシングルまたは子供のいない共働きの夫婦であれば、寄付金額の上限の目安は2万8,000円となります(住宅ローン控除や医療費控除など他の控除を受けていると金額が異なる)。

  • 年収300万円のシングルまたは子どものいない共働きの夫婦の場合

総務省のふるさと納税ポータルサイトには家族構成による寄付金額の上限額の目安が載っているほか、給与収入、家族構成、寄付金額を入力すると寄付金控除額を計算してくれるシミュレーション用エクセルがあるので、是非活用してみましょう。

2017年分の控除対象となる締め切りはいつまで?

では、いつまでに申し込めばその年の控除対象となるのでしょうか。

12月はふるさと納税を申し込む人が多くなるので、自治体側も事務手続きが混雑します。そのため、銀行振込や納付書払いの場合、12月15日までなど早めに締め切る自治体もありますが、クレジットカードで寄付金を支払う場合は12月31日23時59分までに決済すれば、原則その年の控除の対象となります。寄付金が年内に受け付けされれば、返礼品の到着が次の年になってもその年の控除の対象となります。

  • ふるさと納税のスケジュール

また、会社員などの給与所得者で、年間の寄付先が5箇所以内などの条件に当てはまれば「ワンストップ特例制度」が利用できるので、ふるさと納税先の自治体に事前に申請書を提出するだけで、確定申告をする必要はありません。

年末まで申し込み可能なお礼の品はどのようなものがあるのか、欲しいお礼の品が品切れになっていないかもチェックしておくと良いでしょう。12月に入るとボーナス支給によりほぼ年収が確定し、この年収をもとに自己負担2,000円の上限以内で寄付を行います。このとき、事務手続きが混雑することもあり、銀行振込や納付書払いでの寄付は12月中旬までしか受け付けていないという自治体もあるので注意しておきましょう。

欲しいお礼の品をすぐに見つけられないときは?

年末に駆け込みでふるさと納税を寄付したいけれど、欲しい返礼品がすぐに見つけられない、欲しいものが品切れ中で年内に申し込むべきかどうか躊躇しているといったケースもあるのではないでしょうか。

そんなときはポイント制度を導入している自治体が狙い目。自治体によっては翌年に持ち越せる「ポイント」を発行しているところもあります。年内の寄付でポイントを貯めておいて翌年へ持ち越し、返礼品は翌年ゆっくり申し込むという手もあります。ポイント制自治体紹介サイト「ふるぽ」などを利用してみるといいでしょう。

また、2017年4月に総務省から全国の自治体に返礼品の見直しが通達され、家電などの資産性や金券などの金銭類似性の高い商品については返礼品から除外、返礼品の還元率を3割以内に収めるという返礼品の見直しについては、既に対応済み、今後実施予定、しばらくは実施しないなど、各自治体によって対応状況は様々です。

まだ対応していない自治体でも、返礼率が5割程度あった返礼品が3割以下になることもあるので、各自治体の返礼品状況もチェックしておきましょう。見直しがかかる前にふるさと納税をした方がおトクといえそうです。

回遊舎

回遊舎

"金融"を専門とする編集・制作プロダクション。お金に関する記事を企画・取材から執筆、制作まで一手に引き受ける。マネー誌以外にも、育児雑誌や女性誌健康関連記事などのライフスタイル分野も幅広く手掛ける。近著に「貯められない人のための手取り『10分の1』貯金術」「J-REIT金メダル投資術」、「NISA120%活用術」、「めちゃくちゃ売れてるマネー誌ZAiが作った世界で一番わかりやすいニッポンの論点10」、「子育てで破産しないためのお金の本」など。