女優の沢尻エリカが映画『猫は抱くもの』(2018年6月23日公開)に主演することが20日、わかった。
同作は大山淳子による同名小説を映画化。かつてはアイドルグループ「サニーズ」のメンバーとして芸能界で活動していたが、今は地方都市のスーパーマーケットで働く33歳の沙織(沢尻)と、自分を彼女の恋人だと信じて疑わない猫・良男との関係を描く。
メガホンをとったのは、『ジョゼと虎と魚たち』(2003)、『メゾン・ド・ヒミコ』(2005)、『のぼうの城』(2012)など幅広いジャンルで才能を見せる犬童一心監督。大島弓子の名作『グーグーだって猫である』の映画版(2008)とドラマ版(2014、16)も手掛けた猫映画の名手でもある。
「犬童監督の作品にはいつか出演してみたかった」と、今回の出演オファーを即決したという沢尻は、『ヘルタースケルター』(2012)以来6年ぶりの映画主演となる。"人の世界"と"猫の世界"、そして"一人の女性の内面の世界"を縦横に交錯させた世界は、沢尻も「まったく新しいチャレンジ」と驚きを表した。また、本人によるアイドルグループ「サニーズ」のダンス&歌唱シーンも見どころとなる。
沢尻は、演じた沙織について「過去にアイドルとして挫折していて、その経験から逆に、自分というものをうまく出せなくなっている。でも芯の部分には『本当はこういう風に生きたかった』という強い想いも抱えている」と分析。「沙織が心に抱えているもの自体は、実は多くの人たちと共通してるんじゃないかなとも感じました」と印象を語る。
"人の世界"と"猫の世界"が入り混じる演出については「演じ分けが大変でしたけれど、全力投球でやりきるしかないなと(笑)。自分の限界を決めず、監督の演出のもとでどこまでいけるか挑戦できたと思います」と撮影を振り返った。
犬童監督は「沢尻エリカさんの魅力と実力を実感できました」と絶賛。『ヘルタースケルター』で沢尻の演技に感じ入り、「アカデミー賞の受賞式の日に樋口真嗣監督とともに沢尻さんにその感動を伝えに行きました」と明かす。さらに「いつか一緒に作品をという下心があったのは当然です。沢尻さんはその時のことを覚えていてくれました。自分の下心に感謝です」と当時の心境を表した。
また、同作では「成功への希求ではなく、積極的な諦めを選んだ時にこそ踏み出せる一歩、その爽快さ」を表し、「揺れる心のダイナミックな動きを、映画の遊びと、演者たちの魅力でエンターテインメントにしていきたい。そして、究極の相棒"猫"、その存在の大きさを表現したい」と思いを吐露。「世代や年齢に関係なく楽しめる、人生の絵本を描いてみました」と語った。