スマートフォン広告とどう付き合うべきか

今後のスマートフォン広告市場を考えると、画像の加工と共有を主な機能としたソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)に正面から向き合っていく必要があるだろう。加工した画像をアップデートしてやりとりを楽しむSNSとしてはInstagramが人気だが、本稿では「PicsArt」を取り上げておきたい。PicsArtは最近、急成長を遂げている画像加工&共有系アプリだ。

  • PicsArtのWebサイト

PicsArtはInstagramと比べると画像の編集機能が豊富で、かなりクリエイティブに画像を加工したり、リミックスしたりすることができ、さらにソーシャルネットワーク機能も多彩だ。他のSNSのステッカーを作成することもできる。

日本において、PicsArtはSNSとしてはあまり使われておらず、優れた画像加工アプリと見みられている。しかし、今後SNSとして影響力が高まる可能性があり、今から目を付けておいて損はないと思う。

PicsArtのCBOを務める Wilson Kriegel氏は、「PicsArtはインストールベースでもアクティブユースベースでも成長を続けている」と話す。さらに成長が期待できることから、広告市場として魅力的なプラットフォームになる可能性もある。最近のPicsArtのアクティビティは次のようになっている。

  • PicsArt CBO Wilson Kriegel氏

  • 総インストール数 4.5億
  • 画像数 8.5億枚/月
  • ステッカー数 5000万枚/月
  • アクティブユーザー数 1億人/月
  • 35歳以下の割合 72%
  • 女性の割合 55%

日本ではコミュニケーションツールとしてLINEが高いシェアを持っているが、PicsArtは他のSNSとも連動しており、PicsArtで加工してそれをLINEで使うといったことができる。日本ではPicsArtのユーザーにおける女性の割合が特に高く、かつ、年齢層も下がるようで、若い女性がコミュニケーションのツールまたは画像を加工するアプリとしてPicsArtを使っているようだ。

画像加工&共有系アプリを使った広告戦略と戦術は試行錯誤

こうした画像加工系アプリのSNSは、コンテンツプロバイダー系の事業と相性がよいとされている。コンテンツの画像や動画を素材として提供することで比較的自動的に拡散していくため、それがそのまま宣伝になるというわけだ。映画やテレビ番組、ライブなどとは相性がよいというか、活用しやすい。

それ以外の業界でどのように活用すればよいかはケースバイケースで難しい。ただ、Kriegel氏は「基本的にはそのアプリを利用しているユーザーが楽しんで遊べるようにコンテンツを提供していくというのがカギとなるだろう」と語る。

この辺りは現在のところ、試行錯誤が続いている状況だ。うまくハマる活用例もあれば、それほど振るわないこともある。

しかし、ユーザー数を考えても、広告プラットフォームとしてこうしたアプリの作るSNSの存在を避けることが難しくなってきている。それならば、積極的にアプリを楽しんで広告市場としての使い方を模索していく、または楽しんでいる若い社員に任せてしまうというのも1つの手かもしれない。どのみち、今後こうしたアプリが広告市場として露出するケースが増えてくることは必然と見られ、今後の動向には注目しておきたい。