ジェンパクトは12月13日、人工知能(AI)がプライベートと仕事に及ぼす影響についての調査結果を発表した。調査は8月15日~30日、米国2,189名、英国1,749名、豪州1,241名の計5,179名(うち、労働者2,795名)を対象に、インターネットで行われた。

私たちの生活の中に普及しつつある人口知能(AI)。日本企業でも、労働力の一助として導入を検討している企業が増えているようだが、その一方で、AI導入が雇用を減らすことになるのではないかと懸念する声もあると聞く。本稿では、調査によって明らかとなった労働者の考えについて紹介しよう。

AIを脅威に感じる労働者、28%にとどまる

  • ジェンパクト「人工知能(AI)がプライベートと仕事に及ぼす影響」 AIが仕事に及ぼす営業

    AIが仕事に及ぼす営業

はじめに、週8時間以上雇用されている労働者2,795名に対し、AIが労働力に及ぼす影響についてどう感じているか聞いたところ、「AIが自分の仕事を脅かす」と感じている人は28%にとどまった。また、「自分の仕事がリスクにさらされる」と強く感じている人は、わずか10%。AI脅威論について伝える最近のニュースとは対照的に、AIが自分の仕事を脅かすと考えている従業員はごく少数であることが明らかとなった。ただし、「自分の子供や将来世代の仕事を脅かす」と懸念している人の割合は、全回答者の半数以上となっている。

  • ジェンパクト「人工知能(AI)がプライベートと仕事に及ぼす影響」 ロボットとの連携にどの程度の安心感を得ていますか?

    ロボットとの連携にどの程度の安心感を得ていますか?

AIを脅威と感じる労働者は想像よりも少なかったが、では、職場でのロボットとの連携についてはどう思っているのだろうか。調べた結果、半数近くの人が「ロボットとの連携に安心感を得ている」ことが明らかに。同社が経営者を対象に実施したAI調査でも、経営者の45%が「ロボットは従業員の安心できる同僚になる」と回答。特に、AIを先行する企業では79%にのぼるなど、多くの経営者や労働者が、AIとの連携を受け入れていることがわかった。

AIとの連携準備、労働者と経営者間でギャップ

「AIと効果的に連携するための再教育に必要な時間と資金がないことを心配している労働者の割合」を調べたところ、AIに投資していない企業では55%だったのに対し、AIに投資している企業では24%と少なかった。また、経営者を対象とした調査では、「企業は再教育のニーズに対応する準備ができていない」ことが示されていることから、労働者はAIとの連携に向けた準備を望んでいるものの、多くの企業は従業員に必要なスキルを与える準備ができていないことが浮き彫りとなった。

  • ジェンパクト「人工知能(AI)がプライベートと仕事に及ぼす影響」 AIと効果的に連携するための再教育に必要な時間と資金がないことを心配している労働者の割合

    AIと効果的に連携するための再教育に必要な時間と資金がないことを心配している労働者の割合

「若い世代がAI対応スキルを身に付けるための最適な方法は何ですか?」と質問したところ、「人と機械尾対話を通じた、より専門的なジョブ・トレーニングを受けること」(45%)や「将来の職場に合わせて若い世代が準備する教科との関連性が高い初等教育と中等教育を受けること」(43%)が上位となった。

AI導入のメリット

  • ジェンパクト「人工知能(AI)がプライベートと仕事に及ぼす影響」 職場にAIを導入するいちばんのメリットは?

    職場にAIを導入するいちばんのメリットは?

労働者にAI導入におけるメリットを聞くと、「時間短縮」と「人件費削減」が上位に。特に、若い世代でこれらのメリットを認識する傾向が高かった。この傾向は、時間短縮やエラー削減のように労働者の目に見えるメリットでは顕著だが、収益向上や人件費削減などの経営者向けのメリットではそれほどではなかった。