東京メトロ銀座線の下町エリア(浅草~神田間)7駅のリニューアル工事がほぼ完了し、上野駅にて13日終電後、リニューアル後のホーム・改札口などが報道公開された。上野駅では日比谷線ホームもリニューアルされている。

  • 東京メトロ上野駅がリニューアル。銀座線東口改札(JR上野駅方面)にモニュメントも設置された

銀座線浅草~上野間は東洋初の地下鉄として1927(昭和2)年12月30日に開業。日比谷線の上野駅は1961(昭和36)年3月に開業した。東京メトロは現在、銀座線全駅のリニューアルを進めており、上野駅も2015年6月からリニューアル工事に着工している。地下鉄開通90周年を前に工事が完了し、報道公開では夜礼の後、作業員がホーム・改札口付近の仮囲いを次々に撤去。新デザインに生まれ変わった駅が姿を現した。

リニューアルにあたり、上野駅のデザインコンセプトは「美術館のある街」とされ、銀座線ホームは「銀座線の歴史にフォーカスした 古き良き重厚な造りの美術館空間」、日比谷線ホームは「現代的でモダンな美術館空間」を表現したという。コンコースには「桜の舞う木立や並木」をイメージさせるデザインの柱も。銀座線東口改札(JR上野駅方面)では木製の回転改札(レプリカ)がモニュメントとして展示され、現行の自動改札機と対比させている。音楽に合わせ、実際に回転する演出も行われる。

上野駅の銀座線ホームは石造りの美術館をイメージしたデザインとなり、ホーム壁に銀座線ゆかりの品などを展示するスペースを設置した。浅草方面ホームに「第三軌条」(1927年の地下鉄開業から1993年まで使用)、渋谷方面ホームに「地下鉄開通記念ポスター」と「列車接近標示器」(1974年から2017年まで銀座線上野駅の軌道内に設置)が展示されている。古くから残る構造物・素材・アイテムを活用するなど「開業当時から変わらない雰囲気」を基調としつつ、今日的な表現によって新しい未来の駅空間をつくったという。

報道公開ではその他、銀座線改札内の商業施設「Echika fit 上野」、フリースペース「mercury patio」、銀座線浅草方面ホームに留置された1000系特別仕様車などが公開された。4番出入口は今回のリニューアルに合わせ、大規模水害に備えた新型の完全防水型出入口となっており、開閉の実演も行われた。モダンなデザインにリニューアルされた日比谷線ホームも公開され、「ツリーアート」を用いたホームの柱などが注目されていた。

工事を担当した東京メトロ工務部建築工事所所長の桑名勝氏は、今回のリニューアル工事を「空間の制約がある中での工事で、どうやって広く見せるか、『美術館空間』を実現するためにどうすればいいか、苦労しました。みんなでアイデアを出し合いながら試行錯誤した結果、空間を広く見せることができたのではないかと思っています」と振り返った。銀座線ホームの展示物については「電車を待つ方、電車を降りられる方に見ていただき、『美術館のある街』のコンセプトを体感していただけたら」とコメントした。

リニューアルされた上野駅は銀座線・日比谷線ともに14日始発から営業開始し、銀座線改札内・改札外の5店舗からなる商業施設「Echika fit 上野」も同日オープン。銀座線東口改札付近に設置されたパブリックアート「上野今昔物語」も同日公開される。

  • 作業員による夜礼の後、仮囲いを撤去する作業を開始

  • 改札口付近の仮囲いも撤去され、回転改札のモニュメントが現れた

  • 銀座線改札内に商業施設「Echika fit 上野」もオープン

  • フリースペース「mercury patio」。マーキュリー像も置かれている

  • トイレも新しくなり、パウダールームも設置された(許可を得て撮影)

  • 銀座線ホームの仮囲いを撤去。浅草方面ホームに1000系特別仕様車も

  • ホーム壁に展示スペースを設置。ベンチには銀座線の路線カラーが配色されている

  • 渋谷方面ホームへの階段からフリースペースを見る

  • 渋谷方面ホームに展示された「地下鉄開通記念ポスター」

  • 最近まで使用されていた「列車接近標示器」も展示された

  • 改札口付近のデジタルサイネージに地下鉄開業当時の画像も。銀座線・日比谷線改札口と4番出入口をつなぐ連絡通路では間接照明が活用されている

  • 4番出入口は大規模水害に備えた新型の完全防水型出入口に

  • 上野駅の日比谷線ホーム。クラシカルな雰囲気の銀座線ホームに対し、日比谷線ホームはモダンなデザインとなった