「ガラパゴス化した日本に本場のサウナを」。そうした想いの中、独自のサウナと睡眠に特化した新しいサービス「ドシー(℃)」の展開が、12月16日から東京・恵比寿で、2018年春から東京・五反田で始まる。
本場のサウナをもっと気軽に
ドシーは、都市生活にフィットする宿泊機能と新しい滞在価値を提供する「ナインアワーズ」の新しいブランドで、従来型のカプセルユニットをリユースするという新しいビジネスモデルをデザインで実現したもの。ナインアワーズ代表取締役の油井啓祐氏としては、ドシーはビンテージカーのような古きものの味わいを残しつつ、新しい魅力を備えた空間になることを目指しているという。今回、その新しい魅力というのが「サウナ」である。
ナインアワーズではシャワー施設と睡眠空間を提供することに特化し、あえて温浴施設は備えていなかったという。実際に油井氏が全国のカプセルホテルも巡りながら、本当に最良のサービスを提供することの難しさを実感したからだ。しかし、異業種もカプセル・コンパクトホテルに参入している現在において、ここにしかないものを目指すことがこれからのカタチには必要だと感じたという。
その中で、店舗設計を担当した長坂常氏からフィンランドでの体験も踏まえて、ロウリュウができるサウナという案が上がった。実際、既存のカプセルホテルでもすでにサウナを備えているところもある。しかし、そうしたサウナとは一線を画すという意味でも、ドシーではロウリュウができるサウナをコンセプトにした。
そもそもロウリュとは、熱したサウナストーンの上に水をかけて水蒸気を発生させることで、体感温度を上げて発汗を促す入浴法だ。日本ではスタッフがサービスしてくれるというのがほとんどだが、ドシーでは本場・フィンランドにならい、セルフサービスとなっている。
「日本のサウナは銭湯文化の延長にあり、サウナと大浴場と水風呂がセットになっています。ですが、フィンランドはサウナとロウリュはセットになっていて、水風呂などなく、そのまま外気温か湖にダイブというものです。東京のど真ん中でロウリュウをやるには制約が多いですが、なるべくそんな本場の雰囲気も感じられるような空間にこだわりました」と油井氏は言う。
ドシーでは、サウナ、仮眠、宿泊と3つのサービスを用意している。宿泊を目的に利用する人のほか、恵比寿駅から徒歩約1分の恵比寿店と五反田駅から徒歩約3分という立地も生かし、周辺地域で勤務するビジネスパーソンがリフレッシュできる空間としての利用も狙っている。なお、恵比寿店は男女に対応しているが、五反田店は男性専用となる。
ウォームピラーは好みの温度で
そのこだわりのサウナはどんな空間になっているのか。まず、サウナは一度に12人まで利用可能。とは言え、20人くらいは利用できそうな広さを確保している。中央にはサウナストーンとミントを浮かべた水が用意されている。このミントはドシーのコンセプトのひとつで、玉の肌石鹸から毎日仕入れるフレッシュミントで、ドシーではロウリュウの前に設けられたミントウォーターやアメニティーなど、ミントをコンセプトにしている。
サウナの室内は90度前後に定温管理し、熱したサウナストーンに自分でミント水をかけてロウリュを楽しめる。クールダウンには水風呂ではなく、身体に沿って静かに流れる水流に包まれるような浴び心地が特長の、TOTOのウォームピラーを冷水専用で用意している。
このウォームピラーにもこだわりがあり、常温・15度・20度・25度・30度と、自分好みを水温を選べるようになっている。低温を好む人の場合、冬場は常温が10度程度となるので、常温を試してみるといいだろう。ロウリュウ、ベンチに腰掛けてリラックスしながらクールダウン、そしてまたロウリュウへ、というローリングも楽しいはずだ。
シャワーブースは、ウォームピラー付きの2つのシャワー口を備えたタイプで、さらに、半個室型もある。アメニティーのボディソープ・シャンプー・コンディショナーは前述の通り、玉の肌石鹸特製のミントタイプで、以前、玉の肌石鹸で限定生産していた商品をドシー専用で復刻したもの。ペパーミントなど複数のミント系精油に、レモングラスオイルなどをブレンドすることで、涼しさの中に新緑のイメージが広がる、清々しい香りが特長となっている。ここだけの特典としてぜひ楽しんでいただきたい。
ドリンクはサウナフロアで自由に飲めるミントウォーターのほか、フロントでは、スパークリングウォーター(160円)やアップルジュース(180円)なども販売している。もちろん、これらのドリンクもこだわり抜いた品々だ。
木の空間でぐっすり眠る
恵比寿店の客室数は男性102室・女性60室、五反田店の客室数は男性のみ164室となる。宿泊者には、受付時にタオルや寝間着などが手渡される。恵比寿店では男女のエリアが分かれており、鍵で各階のセキュリティーを管理している。カプセル空間の側にはロッカールームを設置。鍵付きのロッカーのほか、大きなスーツケースを収納できるスペースも設けられている。
カプセルは元あったものを生かし、寝具はナインアワーズで導入されているものを使用している。カプセルの天井に突き出たものがあるのは、以前はそこにテレビがあったから。そうした名残もリノベーションならではでなんだか面白い。また、カプセルの中には鏡があるので、寝起きの身だしなみもばっちりだ。そのほか、コンセントやUSBの差込口も完備している。
フロント階にはラウンジも用意。サウナエリアも含め、各館には随所にコンセントが設けられている。また、全館無料Wi-Fiに対応しているので、ちょっとしたPC作業もラウンジでできそうだ。
恵比寿店の建物そのものは、長坂氏の構想で自然の中にいるような空間になっており、木を多用したデザインはフロントからサウナ、カプセル空間まで、全てのエリアで共通デザインとなっている。2018年春にオープンする五反田店では男性専用ということもあり、もう少しエッジの効いたデザインになりそうだと油井氏は語る。
今後のドシーの展開は未定だが、既存のナインアワーズにサウナを導入することも構想しているという。その際、ドシー同様にミントをコンセプトにするかはまだ未定のようだが、さっぱりと整えるという意味でも、ミントは相性が良さそうな気がした。24時間営業のドシーは滞在のみならず、働き方や暮らし方にもいい風を吹き込んでくれるかもしれない。
メニュー・システム
サウナ: 1,000円~。最初の1時間は1,000円。以降、1時間毎に500円。利用可能時間13:00~翌日9:00(最終受付8:00)
仮眠: 1,500円~。最初の1時間は1,500円。以降、1時間毎に500円。利用可能時間13:00~21:00(最終受付20:00)
宿泊 4,900円~。チェックイン13:00~、チェックアウト翌日10:00
ドシー恵比寿
開業日: 12月16日13:00
所在地: 東京都渋谷区恵比寿1-8-1
アクセスJR山手線、埼京線、東京メトロ日比谷線「恵比寿駅」から徒歩約1分
営業時間: 24時間
休業日: 年中無休
専有延床面積: 726.163平方メートル(B1と1Fテナント面積除く)
敷地面積: 125.122平方メートル
客室数: 男性102室、女性60室
ドシー五反田
開業日: 2018年春
所在地: 東京都品川区東五反田1-20-15
アクセス: JR山手線、都営浅草線、東急池上線「五反田駅」から徒歩約3分
営業時間: 24時間
休業日: 年中無休
専有延床面積: 891.57平方メートル
敷地面積: 127.44平方メートル
客室数: 男性のみ164室
※価格は税込