JR東海は12月12日に東海道本線で発生したパンタグラフおよび電力設備の損傷に関して、同社サイトにて概況などを公表した。この影響で約9時間半の遅れが生じ、上下計182本が運休(うち部分運休は上下計51本)。影響人員は約7万4,700名に及んだ。

  • 名古屋近郊の東海道本線を走る313系

同社の説明によれば、12月12日7時59分頃、東海道本線枇杷島~名古屋間を走行中だった上り快速列車(2504F)の運転士が異音を検知し、周囲の列車を停止させる手配を取ったという。係員が安全確認を行ったところ、下り普通列車(101F。枇杷島駅にて先頭号車のみホームに掛かっている状態で停車)のパンタグラフと電力設備の一部が損傷していた。この下り普通列車の他にも、岐阜駅に停車中だった上り快速列車(2900F)など計4列車でパンタグラフの一部に損傷があったと判明している。

電力設備においても、名古屋~枇杷島間の下り線で電車線を吊るハンガーが計162本損傷。FRPセクション1カ所、交差金具3カ所、がいし1カ所、その他金具10カ所の損傷も報告されている。また、「14時40分頃、幸田駅構内にて電車線の支持方法を変更するために仮設していた支持鋼材が垂下していることを発見したため、復旧作業及び点検を行いました」とJR東海。幸田駅構内では、き電吊架線化に先立ち電車線の支持方法を可動ブランケット化するための工事が行われ、12月10日から仮設鋼材を既設のビームに固定し、電車線を支持する工事を実施していたという。

原因に関して、JR東海は「詳細は調査中」としつつ「幸田駅構内にて電車線の工事で仮設していた支持鋼材の接続ボルトが折損したため、鋼材が垂下し、パンタグラフに衝撃しました」(折損したボルトは仮設鋼材をビームに接続するためのもの)、「変形したパンタグラフにより名古屋駅~枇杷島駅間の電力設備の一部が損傷しました」と説明。対策について「十分な強度を有する仮設方法を検討します」としている。