東京都内にカレー屋さんは数あれど、メニューも店主もこんなに個性的な店はそうそうないだろう。今回は、「広尾のカレー」(東京都港区)で「牛テールカレー 国産牛テールトッピング」を堪能してきた。
店主の名前はきっかわこうじ!?
同店は、広尾駅を降りて徒歩5分ほどの静かな路地裏にある。ん? なぜか店の外にドラムのシンバルが飾ってある。何でだろう? と思いつつ扉を開けると、奥行きのある店内には入り口付近に4人掛けのテーブル席が2つ、カウンターが5席。
驚かされたのは、その周囲を囲む壁。一面にイラストやコメントが書き込まれており、上を見上げれば天井まで! しかし、これは決して落書きではない。「『書いていいですか?』って聞かれて、ぼくとコミュニケーションを取って『どうぞ』って言うか、『じゃあ一発芸やって』って言うか、『やめて』って言うか、どれかですね。勝手に書いたらそりゃ怒りますよ」と語るのは店主のきっかわこうじさん。そりゃそうだ。人の店の壁に勝手に書いちゃダメ!
ところで、歌手・俳優の吉川晃司さんと同姓同名のきっかわさん。外にあったシンバルは、吉川晃司さんのライヴで見せ場の1つになっている「シンバルキック」の象徴として置いているのだ。なるほど~、思わず「バンドやってるんですか?」なんて聞いてしまった俺のトンチンカンぶりを反省。
大阪出身のきっかわさんは、もともと大阪の和食店で働いていたそうで、そのときの先輩が独立して東京・南麻布に焼き肉店「旨焼もぐり」をオープンすることになり、一緒に働くために上京したのだという。その店には裏メニューにカレーがあり、上質な牛テールも手に入ったのだとか。その牛テールを大量に仕入れさせてもらうことができたため、独立した際に牛テールを使った「広尾のカレー」が誕生したのだとか。
ほろっと柔らかい牛テールが抜群にうまい!
人気のメニューは、「牛テールカレー」(税込820円)に、トッピングで「国産牛テール」(税込200円)を載せたもの。この「国産牛テール」は、連日売り切れてしまうようだ。では早速、カレーを実食しよう。6時間じっくり煮込んだ牛テールスープと玉ねぎ、りんご、トマト、赤ワイン、小麦粉をたっぷり合わせて完成するカレールーは、ねっとりとした舌ざわりで実にマイルドな味わい。
スパイスはルーの中に調和しており、コクが深くご飯によく合う。食べるとホッと安心できる家庭のカレーなので、子どもから大人まで、万人に受け入れられそうだ。そして、トッピングの牛テール。これが結構大きい! ガブリと思い切って頬ばると、かなり柔らか~い!! ゼラチン質もぷりぷりとした食感で絶品だ。これが200円でトッピングできてしまうなら、そりゃあトッピングしちゃうはず。
また、キャベツにかかった塩だれは焼き肉屋で働いていた頃に教わったレシピで作られているとのことで、カレーのマイルドさによいアクセントを与えているから、交互に口に運んでみてほしい。
ちなみに、ノーマルなカレーの辛さは「0辛」だが、辛さは追加することができる。ただし、「結構辛いですよ」ときっかわさん。1辛2辛まではメニューに載っているものの、後は自分で辛さを追加できるシステムになっているようで、最高で25辛を食べた人がいたそうだ。想像を絶する辛さな気がする! そこまでいったら味が分からなくなりそうなので、ちょっとやめておこう。
上質なホームメイドカレーと、エネルギッシュで愉快な店長さんとのコミュニケーションが楽しい「広尾のカレー」。牛テールのトッピングは売り切れてしまうことも多いので、ランチタイムには急いで足を運んでみよう。
●information
広尾のカレー
住所: 東京都渋谷区広尾5-17-8 アプリシエ広尾1階
営業時間: 平日11:時30分~15時、17時~23時
土日祝日11時30分~23時
定休日: 水曜日