UK3の竣工は2018年1月予定であるが、2017年12月現在で大まかな工事は完了。今回の工場見学会は、この工事の完了を受けて実施された。
抗体医薬品の製造方法は大まかに、
- 抗体遺伝子を導入し抗体産生細胞の構築する
- 細胞を培養し増殖させ、培養液中に抗体を分泌させる
- 培養液から細胞を除去し、さらに精製して不純物を除去する
- 原薬を無菌ろ過し充填する
というもの。
UK3では、上記の2~3の工程を担う。製造工程は、調整エリア(7階)、培養エリア(5階)、精製エリア(3・4階)、倉庫エリア(2階)の4つのパートに分かれており、下流の工程にいくにつれて、下の階層で作業を行う造りになっている。
最上階の7階では、原材料の秤量・調整を行い、培地およびpH調整に用いるバッファーを作製する。原材料は2階の倉庫より搬送装置にて運ばれ、作業者はシングルユースバッグを用いて秤量する。秤量後、調整用タンクを用いて液量・温度・かき混ぜ速さを設定すると、コンピュータが自動で調整を開始する。タンクには5階へのパイプがつながっており、作業後は直接5階の培養工程に送ることができるようになっている。
5階では、有効成分(原薬)を産生する細胞を培養する。ここでは、1mLの保存細胞を6000Lにまで拡大することができる。固定設備とシングルユースのハイブリッドで、1mL~20mLがシングルユース、100L~6000L培養タンクが固定設備となっている。6000Lまで拡大した後は、遠心分離機により必要のない細胞を取り除き、ろ過し、次の工程へと送られる。
4階では、作成したバッファーを保管することができる。また、3階の精製エリアへバッファーを送る役割を担う。2000L~6000Lのタンクが、約60機設置されているという。
3階では、5階の細胞分離室や4階の保管室から送られた液の原薬以外の不純物を、クロマトグラフィによって除去する。クロマトグラフィは、さまざまな抗体に対応するために4機設置されている。また同工程では、ウィルスの不活化、フィルターによる除去も行う。その後原薬調整を行い、分注する(試料となる液体を一定の容量ずつ吐出する)という流れだ。
なおこれらの装置は、その多くがコンピュータで操作することができ、オートメーション化、さらにはクローズド化も実現しているという。同社は今回の新プラントの設立により、少量多品種に対応した治験薬の生産体制を整えることに加え、今まで以上の高品質な医薬品の供給を目指すとしている。