久保庭均氏

説明を行った中外製薬の久保庭均 上席執行役員

中外製薬は12月5日、浮間事業所にて、後期開発用治験薬および初期商業用のバイオ抗体原薬の生産を担う新プラント「UK3」の報道陣向けの見学会 兼説明会を実施した。

同社の上席執行役員である久保庭均氏は、今回のプラント新設に至った理由を「少量多品種に対応した治験薬の生産体制を整えるため」と語る。

中外製薬は2001年、研究開発基盤の強化や医薬品のグローバル供給するために、 スイスの製薬・ヘルスケア企業であるF. ホフマン・ラ・ロシュと戦略的アライアンスを締結しており、グローバルトップレベルの質とスピードを目指した新薬開発を行っている。また、2012年には独自の抗体改変技術による新薬創製に特化した研究拠点をシンガポールに設立。加えて、開発プロジェクトの価値最大化のため、ロシュとの自社製品導出契約の一部変更や、治験薬生産設備の拡充も進めるなど、その成長速度は目まぐるしい。

そうした状況を受け、今後は今まで以上に革新的な開発品が継続して創出されることが期待されることから、今回の設備投資に至ったという。

  • 中外製薬

    中外製薬90年の歩み。ロシュとの戦略的アライアンスが成長ドライバーとなり、2002年に2048億円だった売り上げは2015年には4602億円にまで増加した

  • UK3

    新プラントの設立により、複数同時開発を実現させ、短期間での上市を目指す

今回新設されるUK3は6つの6000Lの培養タンクと2系列の精製ラインを有しており、2検体の同時製造を実現する。例えば、5つの培養タンクと1つの精製ラインで商用生産を行い、残りの培養タンクと精製ラインで治験薬の製造を行うといったことが可能となる。この新プラントの設立により同社は、新薬の上市までの開発速度を上げることで、グローバルトップレベルの競争力を目指す。

  • UK3

    UK3の特徴。例えば、5つの培養タンクと1つの精製ラインで商用生産を行い、残りの培養タンクと精製ラインで治験薬の製造を行うといったことが可能となる