説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、『格安だったLightningケーブル、充電が遅いような気がします!?』という質問に答えます。

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いわゆる"100均ショップ"でiPhone用USBケーブルを見かけるようになりました。製品パッケージに「Lightning」の文字はありませんが、一見すればそれがLightningと(ほぼ)同じ形状を持ち、電気的に互換性がありそうなことがわかります。物理的に接続できれば同様に使えてしまうのではないか、そう考えるのも無理はありません。

しかし、端子の形状や各ピンに割り当てられた信号の種類に互換性があるとしても、仕様が完全に一致するとは限りません。実際、iPhoneに付属の純正品やAppleによる認定のある製品(Made for iPhoneロゴ付き製品)と非認定品では、電流が異なることがあります。

iPhoneに充電中の電流を調べたところ、iPhoneに付属の純正Lightningケーブル(1m)はほぼ1アンペアを記録しましたが、100均ショップで購入した形状互換ケーブルは0.6アンペア前後でした。

iPhoneを充電するための電力(ワット/W)は、電圧(ボルト/V)×電流(アンペア/A)で求められますから、USBケーブルという電圧が5ボルトで一定する状況では、アンペア数の大きいほうが高速に充電できることになります。純正Lightningケーブルに比べて形状互換ケーブルのほうが充電に時間がかかるのは、気のせいではないのです。購入した形状互換ケーブルが1アンペア以下とはかぎりませんが、性能が保証されている純正品およびMade for iPhoneロゴ取得製品のほうが確実です。

なお、充電速度は電力供給側(バッテリー/USB AC変換アダプタ)の出力値にも影響されますから、ケーブル側の性能だけを気にしても意味がありません。ケーブルが対応する電力の大きさも重要ですが、充電時に失われる電力(送電ロス)の問題もあるため、品質の保証された「Lightningケーブル」を選ぶべきでしょう。

  • 「Lightningケーブル」と形状互換品に性能差があることは少なくありません