トヨタ自動車「ハイエース」といえば、日本全国どこでも見かける“はたらくくるま”の代表格。そのハイエースがマイナーチェンジを機に発表会を行なった。改良の内容をお伝えするとともに、世界各地で愛され続けている理由、増えつつあるレジャーユースへの対応なども報告しよう。
トヨタでは「クラウン」に次ぐ歴史を持つ「ハイエース」
トヨタのワンボックスカー「ハイエース」が姉妹車の「レジアスエース」ともどもマイナーチェンジを受け、11月22日に発表会が行われた。ハイエースのような商用車がメインの車種のマイナーチェンジで、メーカーが発表会を行うことは珍しい。興味があって足を運ぶと、そこには「ハイエース50周年」という文字が大きく掲げられており、フロアには歴代ハイエースが並んでいた。
トヨタはロングセラーの車種が多い。筆頭が1951年に「トヨタ・ジープBJ」としてデビューした「ランドクルーザー」であり、3年後には小型トラックの「トヨエース」、翌年には国産高級車の代表格「クラウン」が登場している。ハイエースはこれらに続く歴史の持ち主だ。
モデルチェンジの間隔が長いのもハイエースの特徴の1つで、現行型は5代目にあたり、2004年に発表された。前面衝突時の衝撃を吸収する車体前部の骨格を上下二重にするなどして安全性能に配慮しつつ、エンジンを前方に移動することで荷室長3メートルを達成。ワイドボディも追加することで「より広い空間を」という声に応えた。
今回のマイナーチェンジでは、環境性能と安全性能がさらに向上した。環境面では、2年前に「ランドクルーザープラド」に初搭載した新世代の2.8Lターボのクリーンディーゼルエンジンを採用。これにより燃費が向上し、一部車種でエコカー減税の適用を受けられるようになった。安全面では、衝突被害軽減ブレーキなどを含めた予防安全システムの「トヨタ・セーフティ・センスP」を設定した。
海外でも人気、多様な使い方に対応
発表会ではチーフエンジニアの野村淳氏から興味深い話を聞くことができた。その1つが海外展開についてだ。日本の風景の一部になっている感があるハイエースだが、販売比率は国内向けが4割で、海外向けの方が多いという。
ただし使用目的は異なっており、物流が85%を占める日本に対し、海外では「人流」、つまり人を運ぶ用途が多いとのこと。たしかに筆者も東南アジアなどで、マイクロバスとして使われるハイエースを利用したことがある。
使い方は日本よりはるかに過酷であり、1日の走行距離1,000キロ、高低差4,000メートルというシーンもあるそうだ。サスペンションを変更することで、30人以上の人を乗せて走っている例もあるという。ランドクルーザー並みにヘビーデューティーな条件だ。