お金を普通預金に寝かせておくだけでなく、資産運用で増やしたいと考えている人は多いのではないでしょうか。ただ、「元手がいくらあればどんな投資ができるのか」はイメージがしにくいものですよね。そこで今回は、元手が10万円、100万円、1,000万円である時のおすすめ資産運用の例を、それぞれご紹介したいと思います。

  • 金額別おすすめ資産運用 - 10万円、100万円、1,000万円

10万円は「株式投資」

資産運用と聞くと、大きな資金がなければできないものと思いがちですが、実は資金が10万円もあれば、様々な運用が可能です。たとえば、「株式投資」。上場している株式の中には、10万円以下で購入できるものが結構あるのです。10万円以下でも、「単元株数」という株式の最低購入単位を満たしていれば、配当や、株主優待を実施している銘柄であるなら株主優待を受ける権利があります。

では、10万円で購入できる銘柄の中から、どのようなものを選べばいいのでしょうか。株式投資が初めての人なら、興味のある企業や優待を入り口にするのももちろん良いですが、 しっかり利益を追求していくには「割安株(バリュー株)」を探すのがおすすめです。割安株とは、市場の平均値と比較して割安な銘柄や、過去の株価水準と比べて現在の水準が割安な銘柄を指します。10万円以下で買える銘柄には、こうした割安株がたくさんあるのです。

割安株なのかどうかの判断をするには、いくつかの株価指標を参考にするのが一般的。中でも「PER(株価収益率)」や「PBR(株価純資産倍率)」が有名です。PERとは、「1株当たりの利益に対し、実際の株価が何倍になっているか」の指標のこと。値が低いほど、割安という判断ができます。一方のPBRとは、「株式の時価総額がその企業の純資産の何倍になっているか」を示すものであり、「株価÷1株当たりの純資産」で計算できます。PBRが1倍以下の場合、今会社が解散して資産が還元されたとすると、株主には投資額以上の利益が発生すると考えられ、割安となります。ただし、PERやPBRは銘柄単体で割高・割安の判断をするのではなく、その株式の業種の平均と比較してみましょう。

また、今後の利益の成長性を見るには、その企業の営業利益が売上高に対してどれだけを占めるかを表す「営業利益率(営業利益÷売上高)」や、株主が出資した資本に対し、企業が一定期間内にどれだけの利益を出したかを示す「自己資本利益率(ROE)」(一株当たり利益÷一株当たり純資産)なども、判断材料としてみましょう。こうした株価指標の条件に合った銘柄をスクリーニング(抽出)するツールが、多くの証券会社で利用できます。証券口座を開設したら、こうしたものを活用して銘柄を選択するのも良いですね。

100万円あるなら「不動産投資」

金額がグッと上がり、100万円で資産運用をする場合は、どのような方法があるのでしょうか。実は、元手が100万円あれば、「不動産投資」を選択肢に挙げることができます。100万円で不動産投資を行う場合、金融機関でローンを組み、マンションなど投資用物件を購入するのが一般的な方法です。100万円は、物件購入時の初期費用等に充て、家賃収入からローンを返済していくという流れになります。会社勤めの人の場合、毎月の給料が信用となってローンの審査が通りやすく手間がかからないことから、不動産投資は人気の副業となっています。

もしくは、100万円以下の賃貸借可能な物件を購入する、という方法もあります。ローンを組んでお金を借りないことで気楽さはありますが、安い物件には築年数が非常に古いなどそれなりの理由があり、実際に人が入居するかどうかの見極めがポイントとなります。また、物件の購入時には、不動産取得税など税金が別途かかりますので、その点も考慮する必要があるでしょう。

1,000万円は「分散投資」が基本

では、1,000万円ではどうでしょうか。たとえば、退職金は老後の生活費といった主な目的がありますが、仮に、コツコツ貯金した使い道が決まっていないお金の場合を考えてみます。まず、1,000万円といった大金を運用する場合、リスクを考慮して、ひとつの投資先には預けず、分散投資を基本とします。たとえば、元本が守られているもの、ミドルリスク・ミドルリターンのもの、ハイリスク・ハイリターンのものなどに分けて投資しましょう。

また、どれだけのリスクを負えるかは、その人の年齢や家族構成だけでなく、リスクに対する心理的な許容度も重要です。あまりリスクが高いと不安になってしまう人は、元本が守られているものやローリスクの商品を選択すると良いでしょう。ただし、「ハイリスクでも良いからお金を増やしたい」といって、大金を投機的な方法につぎ込むことや、よく理解していない方法に投資することは避けてください。そして、余裕資金を全て運用に回すのではなく、いざという時に使える預貯金とのバランスも考慮したいところです。

余裕資金がありながら、運用方法に迷い、何も始められないという人は多いようです。まずは、少額投資からチャレンジし、本格的な運用に備えてはいかがでしょうか。また、今回はあくまで目的を絞らないケースをご紹介しましたが、特定の目的があれば、それに適した運用法を選ぶのがベストです。運用を行う際には、「何に使うお金か」を明確にしておきましょう。

■ 筆者プロフィール: 武藤貴子

ファイナンシャル・プランナー(AFP)、ネット起業コンサルタント

会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやマネーコラムの執筆を展開。独立後はネット起業のコンサルティングを行うとともに、執筆や個人マネー相談を中心に活動中。FP Cafe登録FP。