今回で20回目という節目の開催となる「第20回 名古屋モーターショー」が11月23日に開幕した。初日の様子をレポートするとともに、その見所を紹介しよう。
名古屋モーターショーは2年に1回、東京モーターショーの約1カ月後に開催される。全国規模である東京モーターショーの地方版と見られてしまうこともあるが、その開催規模、展示内容、そして人気の高さは侮れないものがある。
人気が高い理由のひとつに、東京モーターショーの後に日本の5カ所で開催されるモーターショーのうち、最初に開催されることが挙げられる。1カ月のタイムラグがあるとはいえ、東京モーターショーを見逃した人にとってはコンセプトカーなどの貴重なモデルを見られるセカンドチャンス。そのため、比較的に遠方からの来場者も多い。
また、開催規模が大きく、車両展示の他にスーパーカー同乗試乗会、最新市販車試乗会、オフロード同乗体験試乗会、セーフティドライブ同乗体験試乗会、痛車の展示、キッズランド、さらに同時開催の「あいちITSワールド 2017」など、幅広いイベントがある。そのため、家族連れで訪れても1日楽しむことができるだろう。高校生以下を入場無料としている割安感も見逃すことはできない。
しかし、名古屋モーターショーの人気が高い最大の理由は、やはりその展示内容にある。とくに輸入車の出展がきわめて豊富であることは特筆に値する。東京モーターショーに出展した輸入車ブランドは15ブランドだったが、名古屋モーターショーではなんとその2倍近い、27もの輸入車ブランドが出展しているのだ。
代表的なところでは、アルファロメオ、ベントレー、キャデラック、ジャガーといった名門ブランドを名古屋モーターショーで堪能できる。ランボルギーニ、マクラーレン、シボレー、ロータス、アストンマーティンといったブランドのスーパーカーを存分に楽しめることも、名古屋モーターショーならではといえるだろう。
こうした輸入車の活況を象徴するかのように、ジャガーは新型SUV「E-PASE」のジャパンプレミアを祝う場所として、この名古屋モーターショーを選んだ。これまで特別仕様車や追加グレードが初公開されたことはあるが、まったく新しいモデルが名古屋モーターショーで初公開されるのは異例のことだ。
祝日と重なったこともあって、大変な人出となった名古屋モーターショーの開催初日。国産ブランドが多い3号館よりも、輸入車ブランドが多い2号館のほうがより混雑している印象だった。とくに人気となっていたのがテスラのブース。EVの大型SUV「モデルX」が触り放題、乗り放題となっていたためだが、このモデルの特徴であるファルコンウイングドアは小さな子供たちにも大人気となっている様子だった。
子供たちにとって、やはりスーパーカーは大人気。ランボルギーニやマクラーレンのブースで記念写真を撮る家族連れが多く見られた。また、シボレーは「カマロ」とともに、映画『トランスフォーマー』シリーズで「カマロ」が変身した姿となっているバンブルビーの巨大フィギュアを並べて展示しており、こちらも人気となっていた。
こうしたモーターショーならではの光景の一方で、輸入車の品定めをする来場者の姿も。たとえば日本で発売されたばかりのアルファロメオ「ジュリア」は、初めてその姿を見る人も多く、細部まで熱心にチェックする人が後を絶たなかった。また、販売店が少なく、見る機会の少ないロータス、さらに二輪ブランドのインディアンなども、購入を前提としていると思われる来場者が訪れ、スタッフに熱心に質問する姿が見られた。
名古屋モーターショーは輸入車を見てもらうチャンス、商機にもつながる
それにしても、なぜ名古屋モーターショーにこれほど多くの輸入車ブランドが出展するのか。規模が大きいはずの東京モーターショーへの出展を見送りながら、名古屋モーターショーに出展する輸入車ブランドが多いことに首を傾げる人もいるかもしれない。
まずひとついえることは、メーカーとディーラーという出展企業の違い。東京モーターショーは基本的に自動車メーカーとしての出展となるので、当然ながら出展するかどうかはメーカーの本社やその日本法人が意思決定する。
一方、名古屋モーターショーのような地方のモーターショーでは、ディーラー、つまり販売店が出展するのが普通。ユーザーから見ると同じ輸入車ブランドであっても、じつは出展している企業が異なるため、出展するかどうかの判断も異なるのだ(ただし今回の名古屋モーターショーでは、ジャガー・ランドローバーの日本法人であるジャガー・ランドローバー・ジャパンが出展している)。
とはいえ、出展するのがメーカーかディーラーか、場所が東京か名古屋かにかかわらず、出展することの効果や意義が大きければ出展するという原則は変わらないはずだ。なのになぜ、東京と名古屋の差がこれほど大きいのか。このあたりの事情については、明確な答えを得るのは難しい。メーカーの日本法人に聞いても、ディーラーがなぜ出展するかは当事者でないから答えられないし、その逆も同様だからだ。
しかし今回、名古屋モーターショーでいくつかの輸入車ブランドについて、出展した理由や効果を聞くことはできた。どの輸入車ブランドも口をそろえるのは、普段は輸入車に触れる機会が少ない人に見てもらうチャンスであり、それが商機にもつながっているということ。実際、名古屋モーターショー後にディーラーを訪れ、ショーで見て購入を考えるようになったという人は多いという。
ロータスなどは日本法人がないこともあり、名門ブランドでありながら日本における販売網は十分といえない部分がある。「購入したいがどこで売っているかわからない」「実車を見て検討したいがそのチャンスがない」というロータスファンの声があるそうで、名古屋モーターショーはロータスとユーザーを結び貴重な接点となっているようだ。
マセラティは「ギブリ」(写真)をはじめ「レバンテ」「グランカブリオ」などを展示。広く、豪華なブースには驚かされた |
これも見る機会が少ないインディアンのオートバイ。子供たちにも人気だった |
ルノーはモデルチェンジした「メガーヌ GT」や「メガーヌ スポーツツアラー GT」「トゥンゴ GT」を展示 |
「第20回 名古屋モーターショー」は11月26日まで開催(開場9~18時)。入場料(当日券)は大人1,500円、高校生以下は入場無料(中高生は学生証の提示が必要)となっている。