キーワードは"プログラミング的思考"
さて、もう一方のトピックスでもあるプログラミング講座に関してだが、ジャストシステムでは“プログラミング的思考”というキーワードに沿って展開していくとジャストシステムILS事業部開発部の廣庭雅一氏は壇上で述べた。
まず冒頭で、昨今プログラミング教育というキーワードについて、コーディングを覚える・できるようになることがプログラミング教育の目的であると誤解されているのではと述べ、実際に文部科学省が策定した「小学校学習指導要領解説 総則編」では“時代を越えて普遍的に求められる「プログラミング的思考」の育成が重要”とされていることを紹介。「スマイルゼミ」においても、課題解決のための手順を考える学習内容となっている。
例えば、「水槽に水を入れる」といった大雑把な課題に対して
「水を入れる容器を用意する」
「水道で水を容器に入れる」
「水槽まで水を入れた容器を持っていく」
といった、課題解決に繋がる具体的な手順を考えることでプログラミング的思考を育んでいくという。発表会では小学校2年生向けの教材を用いたデモンストレーションが行われたが、実際にひとつひとつの行動を自ら選択し、プログラミングするかのように行動を積み重ねていくことで課題を解決していく内容となっていた。手を動かし試行錯誤を繰り返しながら、ひとつの課題に対して必要なアプローチの手段を考える能力を養う。これが、ジャストシステムが考える“プログラミング的思考”の学習に対する解だ。
また、既存教科の学習理解を深める上でも、このプログラミング的思考は大いに役立つ。デモンストレーションで公開された水槽に水を入れる小学校2年生向け算数の教材では、リットル、デシリットル、ミリリットルの関係性についてプログラミング的思考を駆使しながら理解を深める内容となっている。
例を挙げると「4リットルの水は何デシリットルか?」という課題に対して、「8デシリットルのバケツで5回水をくめば4リットルになる」ということを、プログラミングを通して教材のなかで体験していくことで理解を深めることが可能となる。もちろん、家庭学習用教材「スマイルゼミ」だから、チュートリアルを経て問題を解き応用問題にチャレンジしてみる、といった一連の流れをひとりで楽しく取り組むことができる。発表会では「算数×プログラミング」のデモンストレーションだったが、「理科+社会×プログラミング」「音楽×プログラミング」「家庭科×プログラミング」といったかたちで各教科について2018年7月以降展開されるとのことだ。
小学生の段階から、課題に対して解決するための手段を考え実際に手を動かしてみる、という学習スタイルに慣れ親しんでおくことにより、実際の社会生活において役立つ思考力の育成を狙うジャストシステムの「スマイルゼミ」。コーディング手法を学ぶプログラミング学習とは異なり、課題解決能力の底上げや課題解決のための手段の多様性を育むことが可能となっており、「人間力の育成」に重きが置かれているように感じた。