Appleの最新スマートフォン「iPhone X」の販売が、お隣の韓国でも本日から始まった。Androidスマホ「Galaxy」シリーズを擁するSamsungのお膝元でもiPhone Xは大人気のようで、Apple Premium Resellerなど各地の量販店で行列ができた。先週始まった予約でも瞬時で完売。人気を裏付ける結果が出ている。
韓国には、現時点でApple Storeが存在しない。そのため、iPhone Xの購入希望者はApple Premium Resellerなどへ向かうことになる。ソウル市内のApple Premium Resellerでは、日があけてすぐの午前0時に販売がスタートしたところもあった模様で、雪の降る中、大勢の購入希望者が列を成した。
全世界で発売前から大人気というのを受けてか、Samsungもうかうかしてはいられないという様子である。Yonhap News Agencyによれば、SamsungはiPhoneユーザーに対し、Galaxy Note 8かGalaxy S8を一カ月試用できるプログラムを提供するとのことだ。iPhoneユーザーは、買い替えでも最新のiPhoneを選ぶ傾向があるが、それを何とか取り込もうという施策のようだ。また、iPhoneユーザーを貶すというTVCMが一部で話題になったのも記憶に新しい。
実のところ、iPhone X人気に対し、Samsungはうかうかどころか、ビクビクしてるという説もある。ロンドンの"Metro"誌は、iPhone Xの発売を前に、公正取引委員会がAppleの韓国オフィスで立入検査を行ったと報じたが、これに対し、同誌は、iPhone Xの成功を阻止するための妨害工作を仕掛けているのではないだろうかと疑問を投げかけている。また、公正取引委員会の立入は、地元の企業を保護するために権限を乱用しているという声もある。Samsungについては、国策に近い支援を受けていたという状況もあり、このような疑義が生じるても牽強付会の説をなすとは言えない。経営陣が汚職事件で逮捕されるなど、Galaxy S7のバッテリー爆発事件以後、醜聞も相次いでいる。
韓国では、iPhone 6発売時に33%のシェアを獲得して以降は、健闘しながらもやや苦戦という形勢となっているが、iPhone Xからスーパーサイクルに突入するという見方が強まっており、ここで手を打っておかないとというSamsungの必死な姿勢が伺える。
機能面においてもiPhone Xが現行のGalaxyを遥かに凌駕するのは明らかであり、特に顔認証機能に於いては、完全にSamsungは置いていかれている。Galaxy S8の顔認証機能は、お面を被ったり、単なる写真でも認証されてしまうなど、致命的な欠陥を伴っており、セキュリティシステムとして機能しないのは明らかなのだ。iPhone Xの顔認識機能である「Face ID」は、3Dで顔の正確なデータを読み取り、生体反応(瞬き)がないと動作しないようになっている。モバイル決済「Apple Pay」が安心して利用できるのは、この高度なセキュリティ機能があるからだ。お面被って財布使われるなんてことは有り得ないのである。
また、起爆剤となるのはiPhone Xだけではないかもしれない。前述の通り、韓国がApple Storeがないが、候補地も決まって間もなくオープンという噂もある。そうなってくれば、SamsungとLGの地元企業の二強という勢力図も大きく書き変わってくるのではないだろうか。