経済ニュースで必ず耳にする「円高」「円安」というフレーズ。何となくわかっているつもりでも、改めて考えてみると、その仕組みをきちんと理解していないものではないでしょうか。学校で一度は習う円高、円安の仕組みについて、再確認してみましょう。

円高、円安とは

円を外国の通貨に換える時の交換比率が、「為替相場」です。通貨の需要と供給のバランスで為替相場は動き、私たちの日々の暮らしに大きな影響を与えています。では、円高や円安とはどのようなことを意味するのでしょうか。

円高とは、たとえば「1ドル=150円」から「1ドル=100円」になるような状態です。円が150円から100円に下がっているのに、なぜ円「高」と言うのか不思議かもしれませんが、これは、同じ1ドルを購入するのに必要な円が少なくなったため、円の価値が高くなったということになります。ドルの側から考えてみると、今まで1ドルで150円購入できたのに、円の価値が上がったことにより、100円しか購入できなくなったということですね。

反対に、円安とは「1ドル=100円」から「1ドル=150円」になるような状態を指します。同じ1ドルを購入するのに、これまで100円でよかったものが150円も必要になるのは、円の価値が低くなったためです。購入する通貨に対して円の価値がどうなったのかを考えると、円高、円安は理解しやすいでしょう。

円高、円安はどちらがいいの?

円高になると、海外でブランド品が安く買えたり、海外旅行の費用が安く済んだり、消費者にとっては良いことが多いような気がしますよね。また、輸入業者は外国から安く材料や商品を仕入れることができますので、これまでと同じ値段で売る場合、利益が多くなります。

しかし、製品を外国に輸出する企業にとっては、円高は大打撃となることもあります。たとえば、ひとつ1000ドルの商品を輸出する企業を例に考えてみましょう。「1ドル=150円」から「1ドル=100円」の円高になったとき、売り上げはひとつの商品につき、マイナス5万円となってしまいます。そうなれば、生産コストを削減したり、社員の給料を減らしたりしなければなりません。社員の収入が減れば、お金を使わなくなりますので、他の産業に影響を及ぼすこともあります。

また、金融商品に関しては、円高の際には、外貨建ての資産が目減りするというデメリットが挙げられます。円安になれば、消費者が輸入品に手を出しづらくなる、輸出産業は潤うなど、逆の現象が起こります。このように、いかなる場合も円高(円安)が良いということはなく、立場によって円高、円安どちらを歓迎するのかが変わることになるのです。

円高、円安の仕組みについて理解が深まったでしょうか。これから為替のニュースを見る際には、円高や円安によって、自分たちの生活にどのような影響が現れるのかを考えてみると良いですね。

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筆者プロフィール:武藤貴子
ファイナンシャル・プランナー(AFP)、ネット起業コンサルタント
会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやマネーコラムの執筆を展開。独立後はネット起業のコンサルティングを行うとともに、執筆や個人マネー相談を中心に活動中。FP Cafe登録FP。