赤穂化成はこのほど、健康的な入浴法やヒートショック対策について明らかにした。

東京都23区における入浴中の死亡者数

「ヒートショック」とは急激な温度変化に伴い血圧が上下することによって、心臓などの血管に大きな負担を及ぼし、心筋梗塞や脳梗塞、脳出血などを起こすことを指す。通常、11月から3月までの気温の低い時期に多いが、特に12月~2月は多発するとのこと。

東京都健康長寿医療センター研究所によると、2011年の1年間にヒートショックに関連した入浴中急死者数は、約1万7,000人であったという。これは交通事故による死亡者数(4,611人)の3倍以上にあたる。

お風呂を医学的に研究している東京都市大学人間科学部教授で医師の早坂信哉先生は、ヒートショックを防ぐために大切なことを3点紹介している。

1点目は「お風呂の温度は40℃」に設定すること。自律神経を整える40℃程度のぬるめの温度は副交感神経が刺激され、心身ともにリラックスできて血圧を下げる効果もあるとのこと。

「42℃を超えるお湯に浸かると交感神経の働きが活発になるため、興奮状態となることで血圧が上昇します」と早坂先生。血液の粘度が上がり、血栓ができやすくなるなどのヒートショックを起こしてしまう危険性が高くなる。

2点目は「入浴時間は10分にすること」。温熱効果によって血液の流れがよくなり、新陳代謝が活発になるため、老廃物が排出されるなど、健康に効果的であるとのこと。「40℃の温度で10分以上の入浴は体温が上がりすぎ、冬でも浴室熱中症になる危険があるので注意が必要です」(早坂先生)

3点目は、「冷えの改善には、半身浴より全身浴」。全身浴の方が血流が良くなり、体が温まるという。お湯の量が多く深ければ、それだけ水圧が強くなる。全身浴は下半身により大きい水圧がかかるため、足のむくみの解消などにも大きな効果があるとのこと。

また、入浴時に寒い脱衣場と温かいお風呂の温度差が大きいと、急激な血圧の変化が原因で「ヒートショック」が引き起こされる危険性があるため、温度差を少なくすることも大切となる。

そのほか、入浴時の発汗により、500ml程の水分とミネラルを失うと言われているため、入浴前後に500~600mlほどの水分を摂取することも大切。水分とミネラルの減少で血栓ができやすくなると血流が低下し、心筋梗塞などのリスクが高まるとのこと。発汗により失われるミネラル分の補給も重要なポイントであるという。