「人と人のつながりを大切にするのがマキシムの真の姿」と語るのは、独創的なアイデアを盛り込んだアナログおよびミクスドシグナル半導体を提供するMaxim Integratedの日本法人マキシム・ジャパンの代表取締役社長に2017年8月1日付けで就任した山崎眞一郎氏だ。今回、同氏に自身の抱負と、これからのマキシムの目指す方向性について話を聞く機会をいただいたので、その様子をお届けしたい。
同氏は大学卒業後、1981年にアナログ半導体大手の日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)に営業として入社。27年間在籍し、ASIC製品を中心に担当し、マーケティング、デザイン、製品開発ライブラリなどのチームを束ねるなど、幅広い分野を担当したほか、一時は米国テキサス州ダラスの本社にも勤務し、グローバルのビジネスを担当したこともあるという。
--:社長就任おめでとうございます。TI出身ですが、そこからマキシムへ移られたわけではないですよね?
山崎社長(以降、敬称略):そうですね。日本TIに27年間務めた後、もう少し、小さな会社で会社全体をまとめてみたいという思いがあり、2008年にInternational Rectifier(IR)の営業統括へと移籍。7年間、営業の責任者を務めた後、IRがInfineon Technologiesに買収されたのを機に同社に移り、インダストリアル関連の営業を担当していました。
--:では、マキシムの社長に、という白羽の矢が立ったのは、その営業手腕が買われたということですか?
山崎氏:それもあるかもしれませんが、それだけではないですね。TIの時代から、ASIC以外にもアナログ半導体も見ましたし、技術部隊を束ねていたこともあります。また、IRではカントリーマネージャーという制度がなく、各国のセールスヘッドが実質的に、そういう役割を担わされていました。そのため、直接、というわけではないですが、全部門を横断する形で、人事や品質部門なども束ねており、そうしたさまざまな経験が買われた、と思っています。
実際に、本社からは「人事系の経験がなければ、マキシムの社長は務まらない」と言われ、売り上げの拡大に加え、若手人材の育成なども役割として伝えられています。
--:結構、幅広く役割が与えられていますね
山崎氏:実は、この2つ以外にも、さらに2つの目標が存在しています。1つ目は、売り上げ拡大に伴う、幅広いファンの創出を、とも言われており、代理店とのパートナーシップの強化が求められています。もう1つは、日本の顧客の声を本社にしっかりと届けるという役割です。特に日本は自動車や産業機器分野で強いメーカーが多いですから、そうした分野の企業との関係を強化していくことが求められています。
ちなみに代理店については、「契約販売代理店」「推奨販売代理店」「オンライン販売代理店」の3種類に分かれており、マキシムとは契約販売代理店4社(アヴネット、立花エレテック、丸文、ネクスティ エレクトロニクス)が直接取引を行い、そこ4社に推奨販売代理店がつながっているという構造になっています。現在、代理店網の高度化に向け、推奨販売代理店との連携強化を推進することで、さまざまなジャンルの顧客にきめ細かなサービスの提供を目指しています。
--:地道な草の根運動ですね
山崎氏:推奨販売代理店については、数よりも質の向上を進めようとしており、マキシムの思いや各社のセールスエンジニアの教育などをさせていただいて、そうした取り組みをてこに販売の拡大を進めています。
すでに契約販売代理店、推奨販売代理店の垣根を越えて、マキシムの製品トレーニングや、事業戦略の説明を行うなど、マキシムの細かいところまで知ってもらえるよう、いろいろと情報の提供を図っています。我々としても、代理店の皆さんがマキシムの製品について知らなければ、その情報は、さらに先の顧客にも届かないことを十分理解しています。そのためには、上述のような関係性の強化が必要で、日本独自の製品リストなども構築し、推奨販売代理店の皆さんが、それを持ち歩いて、紹介しやすいようにするといったことも進めています。