鉄道総合技術研究所は14日、走行する鉄道車両から鹿と犬の鳴き声を流すことで鹿との接触事故を防ぐ手法を開発したと発表した。
音声は鹿が仲間に危険を知らせる際に発する「ピャッ」という甲高く規則的な声(警戒声)と、「キャンキャン」と犬が吠える声(咆哮音)を組み合わせたもの。鹿は犬を嫌うことから、約3秒間の警戒声に続いて約20秒間の咆哮音が流れる構成とした。
これにより、鹿の鳴き声で警戒心を喚起し、犬の吠える声で鹿を遠ざける効果があるという。走行する車両から音声を流すため、列車が接近する前に鹿を遠ざけることができる上に、柵などが設置できない区間でも使えるメリットがある。
鉄道車両と鹿との接触事故が多い冬場の夕方から深夜にかけてテストを行った結果、車両100km走行あたりの鹿の目撃回数が13.6件から7.5件となり、約45%減少したという。今後は北海道・四国・九州で長期間の試験を実施するほか、あらかじめ指定した区間で自動的に音声が流れる装置の開発を進め、2018年度中に実用化のめどをつける考えとしている。