Mozillaは11月14日 (米国時間)、Webブラウザ「Firefox」のバージョン57.0の安定版 (Windows/Mac/Linux)をリリースした。Firefoxをモダンに進化させる2つの取り組み、ブラウザエンジン・プロジェクトの「Quantum」とUIプロジェクト「Photon」の成果が組み込まれた安定版であり、飛躍的な高速化を果たしている。Mozillaはこの新世代のFirefoxを「Firefox Quantum」と呼んでいる。
Firefox 57の最大の特徴はスピードである。Mozillaは13年前にFirefox 1.0をリリースした時に、クラウドファンディングで集めた資金を使ってNew York Timesに広告を出した。Firefox Quantumをオリジナルに匹敵する重要なリリースと位置づける同組織は、11月14日に「高速」に焦点を当てた広告をNew York Timesに載せた。
Firefox 57は、Webブラウザ性能ベンチマーク「Speedmaster 2.0」による比較で、今年3月にリリースされたFirefox 52より2倍も高速になった。効率性も兼ね備えており、Chromeよりもメモリー使用量が約30%少ない。Quantumでは、以下のようにブラウザエンジンの主要パーツをモダンに刷新している。
- Quantum Compositor:コンポジターに専用のプロセスを割り当てて、より安定した動作を実現。
- Quantum DOM:タブを分離して協調的にスケジューリングされたスレッドに割り当てることで、細かなフリーズのないスムーズなWebコンテンツの動作を実現。
- Quantum CSS (Stylo):マルチコア化するCPUを活用して、CSSスタイルの処理を完全並列化させて効率性を高める。
- Quantum Render (WebRender):めざましい進化を遂げているGPUでの並列処理に最適化させたレンダラ。
今日のユーザーはPCでも様々な種類のデバイス、異なるサイズのディスプレイでWebブラウザを使用している。Photonによる新UIは、多様化するデバイスで統一感のある快適な使用体験を実現する。またQuantumがそうであるように、PhotonもこれからのWebの変化に応じてスケールできるようにデザインした。
UIを刷新する上で、開発チームは人々のブラウザの使用方法を細かく調査し、ユーザーが迷わずスムースに操作できるデザインを徹底した。ブラウザエンジンだけではなく、Photonによるブラウザ操作の効率性向上もブラウザの高速化に貢献している。たとえば、ブックマークや履歴、Pocketのリスト、スクリーンショット撮影機能といったユーザー個人のブラウジングに関わる機能が、右上のライブラリ・ボタンからアクセスするメニューにまとめられている。新デザインでは新規タブのページデザインも新しくなり、最も訪れるサイト、最近訪れたページと共にPocketからのおすすめ(米国、カナダ、ドイツ)が表示される。