やってきました、食欲の秋。普段は抑えている食欲が思いっきり解放されてしまうのは何故だろう。きっと来るべき冬に備えて栄養を蓄えておこう、という人間の本能があるに違いない。いや、そうに決まってる。だってここ数日、肉料理が食べたくて仕方ないんだから。そんなときには、肉屋さん直系の店でリーズナブルにおいしい料理をモリモリ食べるのがベスト。今回は「キッチン大正軒」(東京都千代田区)にて、ボリュームたっぷりで肉がおいしい定食を食べてきた。
美人店主が切り盛りする肉屋直系の老舗
「キッチン大正軒」は、昭和38(1963)年に開業した「東京交通会館」(東京都千代田区)の地下飲食街にある老舗だ。その歴史は長く、肉屋さん直営の店で40年ほどの前にオープンしたという。メニューは、開店当初はとんかつ、ひれかつ等をメインに営業していたそうだが、10年前にリニューアルして、現在のメニュー形態になったのだとか。
店内のメニュー表を見てビックリ。ロースかつ、ひれかつ、しょうが焼き、ハンバーグ、鶏から揚げ、ビーフかつといった肉料理から、エビフライ、アジフライまで。また、あまり定食屋さんでは見かけることがないスコッチエッグ定食もあるなど、実に豊富で迷ってしまうほど。う~ん、どれを食べようかなぁ。
ここはひとつ、店のオススメを聞いてみよう。と、いうことでご対応頂いたのが店主の高橋扶佐さん。高橋さんによると、「しょうが焼きとフライの組み合わせはよく出ますね。若い人だけじゃなくて年配の方もよく食べていらっしゃいますよ」とのこと。なるほど、しょうが焼きに好きなフライを自由に組み合わせられるのって何だかうれしい。
ジューシーなしょうが焼きとボリューミーなササミフライ
よし、決めた。今日は「しょうが焼きとササミフライ定食」(税込1,050円)にしよう。調理の様子を見せてもらうと、まずは生パン粉をつけたササミフライをフライヤーにイン。なんて大きさなんだ!? ササミ2本だけでも立派な定食になりそうだ。さらに、しょうが焼きは、とんかつと同じ国産ロース肉を使っており、厚みがあってこちらも食べごたえがありそうだ。
脂身が好きなお客さんが多いとのことで、脂身もたっぷり。お肉屋さん直営の店ならではの贅沢さに、調理中から期待が高まるばかりだ。たれと絡めて焼いた豚肉と、高温で揚げて余熱でうま味を閉じ込めたササミフライを皿にのせ、ボリューム満点な定食が完成。おいしそう~! いただきます!
このしょうが焼き、すっごく柔らかい。ビッグサイズながら歯切れがよく、ひと口噛んだだけで肉のうま味がダイレクトに伝わってくる。さらに脂身もあま~い! 目を閉じて味わいたくなるほどだ。思わず「肉がうまい!」と口に出してしまいたくなるこの味は、やっぱり肉屋さん直営だからこそなんだろうなあ。厳選素材を生かしたシンプルな味付けがまた、いい。
そして、切らずにそのままの状態でドーンとのせられたササミフライにかぶりつくと、サクサクっとした衣の中身が、これまた柔らかい。ササミにありがちなボソボソした感じは一切なく、しっとりしていて肉の新鮮さも伝わってくる。ウスターソース、醤油もありだけど、タルタルソースをつけて食べるのもおすすめ。淡白なチキンがしょうが焼きとは対照的な味わいなので、これは定食として大正解!
また、ご飯は「あきたこまち」を使用。炊き加減も絶妙でおかずと合うんだ、これがまた。食欲全開になってしまうのしょうがないっていうくらい、すべてがおいしい。そこには肉本来の味があるのはもちろんのこと、素材を活かした丁寧な調理、心ゆくまで食事を楽しんでほしいという店の雰囲気づくりもあるような気がした。
ちなみに、フライを単品で追加注文することもOK。牛と豚の合挽肉がギュッと詰まった肉々しいメンチカツ(税込250円)、アジフライ(税込200円)、ハムカツ(税込100円)などを定食にプラスするお客さんもいるようだ。フライを追加しても1,000円ちょっとだから、財布に優しく、お腹は大満足。ごちそうさまでした!
昔よりも親しみやすくなった有楽町界隈の変化もあり、「キッチン大正軒」を訪れるお客さんは年々増えている様子。そりゃそうだよ、こんなにおいしい料理と美人で明るい店長さんがいるんだもの、通いたくなるわけですよ。今度はビールを飲みながらフライを楽しんでみようっと。
●information
キッチン大正軒
住所: 東京都千代田区有楽町2-10-1 東京交通会館 地下1階
営業時間: 月~金 11時~14時30分(水~金は17時30分~20時も営業)
土 11時~15時
定休日:日・祝・祭日及び
※営業時間は変更の可能性あり