「保活」という言葉もすっかり定着し、復職に向け保育園選びに精を出すママたちの姿はもはや当たり前に。妊娠中から足しげく保育園へ見学に通うママも珍しくないが、中には「〇月生まれなら、保育園選びも楽だろうね」「〇月生まれなの? 保活大変だね!」といった会話を耳にした人もいるかもしれない。

よく保活では「誕生日で有利・不利が生じる」と言われるが、その噂は本当なのか? 今回は「保育園を考える親の会」代表で、国や自治体の保育・子ども施策に関わる委員会等の委員も務める普光院先生に、真偽のほどを伺った。

〇月生まれは、保活が不利になるって本当?

キーワードは「4月入園」と「0歳児クラス」

「残念ながら、現状においては誕生日によって保活の有利・不利が生じています」と普光院先生。そのキーワードとなるのが「4月入園」と「0歳児クラス」だ。

待機児童が多い首都圏などでは、年度初めの4月入園を逃すと、年度途中で認可保育園に預けることはほぼ不可能に近い。育児・介護休業法では、育児休業を満1歳の誕生日の前日までとしているため(ただし、保育園に入れないなどの事情がある場合には、2歳まで延長できる)、多くの会社が育児・介護休業制度を1歳までとした上で法定の延長を認める制度にしている。この制度をフルに利用したい場合は、1歳の4月入園をねらうことになるが、近年は0歳の4月入園をねらう人が増えている。

理由は、不安だから席を早く確保したいということもあるが、1歳児クラスよりも0歳児クラスの方が入園の競争率が低いということも大きい。

4月は保育園の各クラスが進級する。1歳児クラスも0歳児クラスの進級があり、全員進級した場合は、1歳児の募集は0歳児クラスと1歳児クラスの定員差の人数だけになってしまう。例えば1歳児の定員が10人の場合でも、0歳からの持ち上がりが6名いれば、1歳児の新規入園枠が4名という具合だ。これに対して、0歳児クラスは定員が10名であれば、全員募集される。そこで、育児休業を切り上げて0歳の4月入園にチャレンジする人が増えているのだ。

しかし、「0歳児クラスの4月入園」は、誕生日によって応募資格を得られない場合があるのだ。「誕生日で保活の有利不利が決まる」と言われる所以はここにある。

保活で有利な誕生日、不利な誕生日とは?

0歳児の受け入れ月齢は保育園によって違う。最近は、産休明け(生後57日目)から受け入れる園が増えているが、5カ月から、6カ月からという園もある。これらの受け入れ月齢は、4月1日時点でその月齢に達していなければならないという意味であり、一番早くから預かる産休明け受け入れの園でも、2月初旬までに生まれていなければ、4月1日に生後57日になることはできない。

希望の園が、生後5カ月からという園であれば、10月以前に生まれていなければ、0歳児クラスに申請できないということになる。また、申請の締め切りが12月などに前倒しされている4月入園の場合、その後に生まれた子どもの申請は受け付けない自治体もある。

保活を見越して、バースコントロールに精を出すママも少なくない

「秋以降に生まれたお子さんの場合、地域の園の受け入れ月齢によっては、選択肢が狭くなってしまう場合があります。早生まれは特に産休明け園に限られてしまったり、0歳4月の申請ができなくなってしまったりする場合があるので不利と言われています」と普光院先生。1人目が早生まれで保活に苦労したママたちが、2人目では入園書類とにらめっこしながらバースコントロールに精を出すのはこのためだ。

では早生まれの子どもを持つママ・プレママは保活を諦めるしかないのか? 次回は、早生まれの保活事情について解説する。

※画像はイメージ

普光院亜紀さん プロフィール

出版社在職中に二人の子どもを保育園に預けて働く。現在、「保育園を考える親の会」代表。保育ジャーナリスト。保育、仕事と子育ての両立の分野の執筆・講演活動を行うほか、国や自治体の保育・子ども施策に関わる委員会等の委員も務める。著書に『共働き子育てを成功させる5つの鉄則』『共働き子育て入門』(ともに集英社)、『変わる保育園』(岩波ブックレット)、『よくわかる保育所保育指針』(共著、ひかりのくに保育ポケット新書)、『保育園のちから』(PHP研究所)、『教育原理』(共著、光生館)、『「保育」の大切さを考える』(共著、新読書社)ほか。