インターネットイニシアティブ(IIJ)は7日、2018年3月期 第2四半期決算を発表した。売上高は829.9億円(対前年同期比12%増)、営業利益は23.2億円(同18.9%増)と伸びを見せる。MVNO事業を展開しているモバイルの総回線数は、9月末日に203.9万回線に到達した。
モバイル回線が200万を突破
モバイル総回線数200万の内訳だが、個人向けサービス「IIJ mio」が間もなく100万回線に到達する。MVNEとして、他MVNO事業者に提供している回線が約65万回線、法人向けが残りの約40万回線。品質の高さゆえ、法人の128社がIIJにモバイル回線を借りてMVNO事業を展開しているという。高い設備稼働率、安定した通信品質、リアルタイムのデータ分析の実施、という3点が企業から支持されているとのこと。
余談だが、IIJがテレビCMを打たない理由も通信新品質の維持にあるという。IIJでは獲得したモバイル回線数、ユーザーの数、トラフィックの量によって設備投資をタイミングよく打っていくことを重要視している。このため、ユーザー数の増減が読みづらいマスメディアを通じての広告戦略は「事業のバランスを損なう」とまで考えているそうだ。
感謝キャンペーンを実施
IIJでは200万回線突破を祝して、個人向けサービスの長期利用者を対象に優待プログラム「IIJmioプレミアム特典(長得)」を12月より開始する。さらに11月16日から12月26日まで、最新スマートフォンや高速データ通信量を提供する「200万回線突破!感謝キャンペーン」を実施する。
これからMVNOの淘汰が始まる
質疑応答にはIIJ 代表取締役社長COOの勝栄二郎氏、常務取締役CFOの渡井昭久氏が対応した。決算では黒字運営が伝えられたが、個人向けMVNOサービスも黒字なのかという質問に勝氏は「IIJ mioでも黒字になっている」と回答した。
格安SIMサービスの現状については、「いまMVNO事業者が数百社もある。インターネットの黎明期にISP事業者が増えたときと同じ状態で、これから競争が厳しくなってくる」(勝氏)。そのなかで、IIJが高いシェアを維持できている理由については「安定した高品質のサービスがあり、また値段を変えていないので分かりやすく、我々独自の多様な販路(Webサイト、MVNEや量販店を通じた)がある」と回答した。
苦しくなったMVNOを買う予定は?
楽天がフリーテルを買収したことについて聞かれると、勝氏は「フリーテルも経営が大変だったと思う。楽天は様々な思惑があったのだろう。IIJに直接の影響はない。これからもいろいろな買収があると思う。自然な流れではないか」と述べた。仮に、IIJに助けを求めてきたMVNOを買収するケースはあり得るのか、と聞かれると「ケースバイケースで判断していきたい」と答えるに留まった。
大手キャリアの影響は?
ワイモバイル、UQ mobileといった大手キャリアのサブブランドが台頭しており、直近ではKDDIの料金プランが好評だが、こうした影響はあるのか、という質問に勝氏は「キャリアのサブブランドについては、総務省が検討を進めると聞いているので動向を見守りたい。KDDIの割安プランとは、サービスの狙いが違うのでIIJとしては特に影響は受けていない」とした。