日本銀行は11月6日、9月20~21日に開催した金融政策決定会合の議事要旨を発表した。それによると、同会合初参加となった片岡剛士審議委員とみられる委員が現行の金融緩和政策は不十分と主張したのに対し、他の委員が反対意見を述べたことがわかった。

金融政策決定会合の議事要旨を公表

片岡氏「十分に緩和的かどうか疑問」

同会合では、片岡氏とみられる委員が「現在のイールドカーブのもとでの金融緩和は、2019年度頃に2%の物価上昇率を達成するためには不十分」と主張。その背景として、「2019年10月に消費税率の引き上げが予定されていることも踏まえると、物価を十分に高めるためには、一段の需要拡大が必要であること」「現在のイールドカーブは、均衡イールドカーブとの比較でみて、十分に緩和的かどうか疑問」などと述べた。

これに対し、ある委員は「現在の実質イールドカーブの水準は全ての年限で均衡イールドカーブを大きく下回っているほか、過去の金融緩和局面と比較しても、十分に緩和的である」、何人かの委員は「景気の緩やかな拡大が続き、物価上昇率や潜在成長率が高まってくれば、実質金利の低下や自然利子率の上昇を通じて、金融緩和の効果が一段と強まる仕組みが内在している」と反論した。

このほか、複数の委員は「円高の進行が我が国経済に大きな影響を及ぼし、『物価安定の目標』に向けたモメンタムが維持できなくなる場合には、必要に応じて金融市場調節方針を変更することになる」と、追加緩和の可能性に言及した。