日本の消費税がまだ3%だった頃、初めてヨーロッパに行って、消費税の高さに唖然としたのを覚えている。レストランでは、水は買わないと出てこないことに驚いた。日本だったら、ただなのに…。というわけで今回は、在日外国人20名に「日本に来て損したと思うこと」を教えてもらった。
Q.日本に来て「損した」と思うことはありますか?
■特にない
- 「損と感じることはないが、日本は先進国なので、途中であった(病気)の時、仕事に大きな影響を与えることが一番困ります」(カンボジア・20代前半・男性)
- 「特に思いつきません」(シリア・30代後半・男性)
- 「ない」(マレーシア・40代前半・男性)
- 「特にありません」(インド・30代前半・男性)
- 「ない」(ポーランド・30代前半・男性)
- 「いいえ。ありません」(エジプト・30代前半・女性)
- 「特にありません」(中国・20代前半・女性)
■故郷が恋しい
- 「自分の故郷から離れて親とすぐに会えない、本場のタイ料理を味わえない」(タイ・40代前半・男性)
- 「個人的な話になりますが、やはり家族や友達から離れて生きていますから、いろいろ逃していると感じています。結婚式やお葬式、赤ちゃんの誕生や友達旅行、私が参加していなくて損していることがしょうがなく増えていて、寂しいと思う時もあります」(イタリア・20代前半・女性)
- 「はい。損をしたのは母国で好きな人と時間を過ごせない事です」(オーストラリア・30代後半・女性)
■性格が変わってしまった
- 「真面目すぎるようになった。ポジティブの率が下がった」(ロシア・20代前半・男性)
- 「性格が変わりました。(静かになりました)」(ペルー・40代前半・女性)
■色々と我慢しています
- 「自分がやりたかった事をやれなかった事で損をしたと思います。(日本は個人の意見を通しにくいと思います)(パラグアイ・50代・女性)
- 「やっぱり外国人なので、できる仕事が限られてきます」(アメリカ・30代前半・女性)
- 「私は日本で税金を納めていても選挙権は持っていません。地域の選挙にすら投票できなければ税金をただにしてほしいと思います」(ドイツ・30代前半・男性)
- 「フィリピンでは男女の給料の差はアジアの中で一番平等らしいです。家事も子育ても夫婦ではほぼ平等に分担されています。日本に来たら、女性が仕事の面でも子育てと家事の面でもすべてが損と思う時がたくさんあります」(フィリピン・30代後半・女性)
- 「厳しい夏の暑さや湿度、冬の室内の寒さを我慢できなくなりそうな時は損をしている気持ちになります」(ハンガリー・30代後半・女性)
総評
アンケートの結果、在日外国人の概ね半数が、「日本に来て何かしらの損をした」と感じていることがわかった。責任感が強く几帳面、その上自己主張が苦手な日本人と接するうちに、性格が「真面目すぎるようになった」「静かになった」という人もいれば、個人の意見が通らず「やりたい事がやれない」と訴える人も。真面目な日本人の性格が長所として評価される一方で、外国人にとって窮屈な空間を作り上げているようだ。
また、「仕事・家事・育児の全ての面で女性が損をしている」という日本社会の現状を指摘する声や、「税金を納めているのに選挙権を与えられない」ことに対する不満の声も聞かれた。政府が男女共同参画を掲げていても、まだまだ男女の差は明らか。納税と選挙権は別物とは言え、そんな社会に一票を投じたくても出来ないという、外国人ならではのもどかしさが感じられた。
日本の「暑さと寒さに耐えられない」という人もいた今回のアンケート。何かと我慢しながら暮らしている外国人が多い中、実は、最も多かった回答は「損したとは思わない」だった。風土も文化も違う国で、理解し難いことは多々あるだろう。それでもいつしか、"住めば都"となることを願いたいと思う。