日本マイクロソフトは2017年11月1日、「働き方改革を支援するモダンワークプレイスソリューション ~Microsoft 365とSurfaceの展開について~」と題した記者発表会を開催した。主にエンタープライズ向けの内容だったのだが、10月31日(現地時間)にイギリスで開催した「Future Decoded」で発表となった「Surface Pro LTE Advanced」を中心に紹介しよう。

日本マイクロソフト 業務執行役員 Windows&デバイス本部長 三上智子氏

Surface Pro LTE Advancedは基本的に、現行のSurface ProへQualcomm製Snapdragon X16 LTEモデムやアンテナを追加したモデルだ。本体重量は(Core i5モデルの場合)、約770グラムから約812グラムへと増加している。もっとも重要なLTEバンドは、日本国内の主要バンド(1/3/8/19/26など)を含む、20バンド(1/2/3/4/5/7/8/12/13/17/19/20/26/28/29/30/38/39/40/41)をサポート。最大3つの周波数を束ねるキャリアアグリゲーションにも対応しており、理論値通信速度は450Mbpsとなる。

eSIM(Embedded SIM)およびnanoSIMに対応しているが、eSIMの日本国内における積極的な利用はしばらく先になるとのこと。将来的に、SIMカードなしの運用が可能になるのは楽しみだ。また、IIJなど国内キャリアと連携した、相互接続性試験(IOT)の順次実施を予定している。LTEネットワークにハードウェアレベルで対応したSurface Pro LTE Advancedは、GPSとGLONAASの受信も可能なので、外出先でのアプリケーション活用がはかどりそうだ。

Surface Pro LTE AdvancedのSIMスロット。しっかりと確認できなかったが、SIMケース部分は磁石製で本体に張り付いていた

Surface Pro LTE AdvancedとSurface Pro 4を重ねた状態。Surface Pro LTE AdvancedはSIMスロットとmicroSDカードが並んでいる

気になる価格だが、第7世代Intel Core i5・メモリー4GB・ストレージ128GBモデルの法人向け参考価格は12万9,800円(税別)、メモリー8GB・ストレージ256GBモデルの法人向け参考価格は14万9,800円(税別)。そう……、Surface Pro LTE Advancedは、個人向けモデルの販売は現時点で予定されていないのである。この点を関係者に尋ねたところ、法人向けリセラーの個人事業主向け販売などを活用する方法もあると述べていた。なお、Surface Pro LTE Advancedは2,800社を超えるリセラーで取り扱う。

Surface Pro LTE Advancedのラインナップ。個人向けモデルは用意していない

Surface Pro LTE Advancedの主な特徴

もう一つの疑問が、Surface Pro LTE AdvancedはCore i5モデルのみということ。日本マイクロソフトに質問したところ、「Core i5モデルはファンレスのため、内部で空いたスペースにLTEモデムを取り付けた。Core i7モデルは排熱ファンがあるため、(当面は)LTEモデルが登場する可能性は低い」とのことだった。

最上位モデルを選択できないのは少々寂しいところだが、ビジネスマンが日常業務に使うのであれば、Core i5モデルは価格面と性能面のバランスがいい。既に日本マイクロソフトはSurface Pro LTE Advancedの公式ページを公開しているので、アクセスしてみてほしい。

同じくSurface Pro LTE Advanced(下)とSurface Pro 4(上)を重ねた状態。Surface Proでも素材が異なっていた部分を同一化した

会場展示のSurface Pro LTE Advancedは開発機のため、デバイスマネージャーなどの撮影は許可されなかったが、ネットワークのフライアウトメニューには、SIMカード用の項目が用意されていた

「設定」には「Cellular」が加わり、各種設定が可能になる。nanoSIMとeSIMに対応しているため、ドロップダウンリストで対象SIMを選択して設定するようだ

阿久津良和(Cactus)