東京出張で夜の付き合いもあるのに、新幹線の終電を乗り過ごすわけにはいかない。深夜に出発する夜行バスは便利だが、翌日のことも考えるとしっかりと身体を休めたい。そんな悩みに、東京・新宿24:10発/大阪・梅田翌08:45着、または、東京・品川23:10発/愛知・名古屋05:35着の、眠りにこだわった夜行バスは、ひとつの答えを与えてくれるだろう。実際にその眠り心地を体験してみた。
WILLERがビジネス利用を意識したバス
この眠りにこだわった「ReBorn」は、WILLERが2月より東京=名古屋/大阪間で導入を始めた夜行バス。車内には、眠りのための最適な環境が備わったシェル型新シートを搭載している。同社のバスは女性も気軽に利用できるよう、ピンクをバスのカラーリングにも採用しているが、このReBornはあえてシックなデザインを採用することで、ビジネスパーソンも気軽に利用できることを狙っている。
東京=名古屋線はひとり8,800円からで、東京ディズニーランド22:15発/JR大崎駅23:10発/金山駅北口翌05:20着/名古屋南ささしまライブ05:35着を毎日1便運行。もうひとつの東京=大阪線はひとり1万800円からで、新浦安22:35発/JR大崎駅23:30発/バスタ新宿24:10発/WBT大阪梅田翌08:45着/なんばOCAT09:20着を毎日1便運行している。
実際に利用したのは東京=大阪線で、新宿駅南口そばのバスタ新宿から乗車した。当日は平日だったこともあり、乗客は観光客のほかビジネス利用らしき人も見受けられた。新宿発は24:10のため、新宿で飲み会があっても、終電を気にせず過ごせるのはありがたい。そして、バスに乗り込んでシートベルトをすれば、あとはもう寝るだけだ。
包み込む形状のシートは最大156度
車内は3列・全18席の座席配置。席は1列+2列になっているので、ひとりにもペアにも対応する。包み込むような形状の座席は一つひとつが大きなつくりになっており、やや通路は狭い印象がある。また、こうした上位クラスの座席だと席と席の間に目隠しとなるカーテンが欲しいところだが、実際に座ってみると座席の壁面がプライベート空間を確保してくれるので、カーテンがなくてもリラックスできるように思えた。各座席には専用の荷物置きがあり、フットレストの下には靴の収納スペースもある。
この座席の最大の特長は電動ゆりかご式リクライニングで、ボタンで簡単に最大156度とほぼフルフラットになるところ。シート幅は59cm、シートピッチはメジャーで計測したところ143cmもあった。レッグレストとフットレストを連結させれば、寝返りも打てるベッドとなり、男性が横になっても窮屈に感じることはないだろう。可動式の首あては、首や頭をしっかりサポートしてくれる。
眠りにこだわったのは座席の形状だけではない。従来の高速バスに比べ、車内で発生する音を軽減するほか、車内の明るさも就寝時には最適な明るさへと徐々に調整していく。付属品として、ブランケットとアイマスクが用意されており、サイドにはドリンクホルダーやコンセント、スマホなどを収納できる網ポケットがある。眠る前読書が習慣の人のためにも、可動式の読書灯を備えている。
朝目覚めたら、十分な広さのテーブルで朝食なり、朝一のPC作業も可能だ。バスの規定上、シートベルトは必須となるものの、156度のリクライニングは寝心地が良く、静かな車内空間ということもあって、すぐに眠りにつくことができた。確かにこの環境があれば、バス下車後にそのまま出勤も可能だろう。
バスは予定通り、翌日の08:45に梅田に到着した。そのまま目的地へ……でもいいのだが、梅田にはWILLERが展開する特別な空間が2カ所ある。バス利用者特典もあるので、立ち寄ってみるのもいいだろう。続いてはそんな空間たちを紹介したい。