KDDIは11月1日、2018年3月期 第2四半期決算会見を開催した。そのなかで、同社 代表取締役社長の田中孝司氏は「iPhone X」の入荷数や予約数について言及した。また、これまでMVNOへの流出に悩まされていたが、その対策については手応えを感じていると話した。

KDDI 代表取締役社長の田中孝司氏

第2四半期は堅調な伸び

KDDIの第2四半期決算は、堅調な伸びを示した。モバイル通信収入は安定して成長しており、au通信ARPA(ユーザー1人あたりの月間通信料)も対前年比で+2.2%となった。上期を振り返り、田中社長は「通期目標に向かって順調に進捗している」と評価した。決算の発表後、田中社長は質疑応答、および囲み取材に対応した。

上期 業績ハイライト。田中社長は「通期目標に向かって順調に進捗している」と評価した

他キャリアへの顧客流出は止まった?

「他キャリアへの顧客流出は止まったのか」という質問に田中社長は、「決算では"モバイルID数"を公表している。これはauの契約者数と、KDDI傘下のMVNOの契約者数を足したもの。これが伸びている」としたうえで、「auの契約者数は、まだ対前年比で2.5%減っている。でもMVNOは増えている状態で、トータルでは1.5%増えている。MVNOに流出するスピードは緩やかになった印象を持っている。でも流出が止まるまで、まだもう少し時間はかかると思う」と肌感を口にした。

なお状況が改善した要因については、リテンションプログラム(ユーザーとの関係を維持していくための施策)である「au STAR」と、引きのある「新料金プラン」が有効に働いているとの見方を示す。

auの契約者数と、KDDI傘下のMVNOの契約者数を足した"モバイルID数"は対前年比で1.5%増

新料金プランの評判が良いという

ちなみにauのネットワーク回線を利用している、ケイ・オプティコムが運営するmineoの影響については「影響はある。テレビでも(割安で利用できるキャンペーンの)CMがやっており、それなりに影響を受けている。それを含めての、今期の結果になっている」とした。

囲み取材でも同様の質問があがった。「流出しても、傘下のMVNOが受け皿になる。リクープ(流出を回収する施策)的には完了したと思っている。あとは、auと傘下MVNOのARPUの差(これが減収になる)をいかに抑えていくか。このために、取り扱う商材を増やしていく。減収分がライフデザイン事業で補えるようになれば。それが今後の課題だし、そこを目指していかなければいけない。ただ、ひとつの山は乗り越えたと思う。2016年はMVNOで大騒ぎだった」と田中社長。

9月からiPhoneも対象になった新料金プランだが、auピタットプランだけでなく、auフラットプランの比率も上がっている。この理由について、田中社長は「iPhone効果そのもの」と笑顔で答えていた。

新料金プランの契約数が伸び続けている。やはりiPhone効果が大きいようだ

傘下のMVNOで貢献しているのはどこ?

KDDIの傘下には、UQ mobile、BIGLOBE、J:COMの3社のMVNOブランドがある。この中で「貢献度が大きい会社」を聞かれると「UQが圧倒的に大きい。UQはこれからスマホを使う人、安さを求める人、端末とセットで契約したい人に適している。一方で、SIMカードの販売を中心としたビジネスはBIGLOBEが行っている。ケーブルテレビと絡めた施策はJ:COM」と回答。au回線を扱い始めたBIGLOBEの効果については「またまだ。やっと始まったところ、というのが実感」としている。

また、フリーテルが楽天に買収されたが、KDDIも今後さらに他のMVNOを買っていく考えはあるのか、という質問に田中社長は「現時点で、必要なファンクションは揃ってきた。自ら動いて買いにいくことはしない」と回答。格安SIM事業者の競争環境については「サービスに特徴を出していかざるを得ないと思う」と述べていた。

iPhone Xの在庫はあるの?

さて、「iPhone X」の予約状況、生産数、供給数について質問があがった。これに関しては「10月27日から予約が始まったが、金土日(27日から29日)の3日間の状況について、お伝えできる数字を申し上げる。iPhone 8/8 Plus8の予約が始まった最初の3日間との対比で、iPhone Xは1.5倍の予約数があった。ちなみにiPhone 8/8 PlusとiPhone Xの予約数を足すと、iPhone 7と同じくらいになる」と説明する。

Xの入荷数については「分からないので、答えようがない。でも、報道ほど待たせることはないのでは、と現時点で見ている。年内には需給が正常化するのではないか。混乱が年明けまで続くことはないと思う」とした。

囲み取材でも、iPhoneの販売戦略についての質問があがった。「iPhone 8の販売数はいまのところ、iPhone 7のときの2/3くらい。iPhone Xの予約数はもう少し多くなると思っていたが、分散している様子がうかがえる。端末の在庫がどのくらい入るか分からないが、供給量は、もっと少ないと思っていたけれどそうでもなかったというのが本音」(田中社長)。

スマートスピーカーは「もっとボキャブラリーがあったら」

各社が開発を進めているスマートスピーカーについては「Google Homeとライフデザイン事業との連携などを考えている」と田中社長。「自分でも、いくつか使っている。気持ち悪いのと正確なのとがある。音声の認識精度もそうだが、もっと単語のボキャブラリーがあったらいいと思う。まだこれからだと思う。便利は便利」と話していた。