テレビ朝日系で放映中の特撮テレビドラマ『宇宙戦隊キュウレンジャー』のスピンオフドラマとして製作されたVシネマ『宇宙戦隊キュウレンジャー Episode of スティンガー』が、東映ビデオより10月25日にリリースされる。本作は、宇宙幕府ジャークマターによって支配されている各惑星の人々を解放するために戦う「究極の救世主」キュウレンジャーのメンバーで、サソリ座系出身のサソリオレンジ/スティンガーにスポットを当てた作品。テレビシリーズでは描かれなかったスティンガーとチャンプの知られざるエピソードが明かされている。時系列としては、動画配信アプリ「東映特撮ファンクラブ」にて全4話が配信中のスピンオフ・ミニドラマ『from Episode ofスティンガー 宇宙戦隊キュウレンジャー ハイスクールウォーズ』から直結したストーリーとなっている。
ここでは、「スーパー戦隊」シリーズ初の試みとなる「テレビシリーズ放映中に、メンバーの一人にスポットを当てたスピンオフ作品」の主演を務めたスティンガー役・岸洋佑に、作品の見どころや撮影時の裏話を訊いた。
――まずは、単独主演でのVシネマ作品ということで、最初にお話があったときのお気持ちを聞かせてください。
うれしかったというのももちろんありましたが、それ以上にプレッシャーでした。何より初めての試みだと聞きましたし、うまくいけば今後もこういうスピンオフ作品が続いていくかもしれないけれど、そういう意味では「失敗できないぞ」という気構えが強かった。僕の場合、これまでずっと音楽をやってきて、演技をするのは『キュウレンジャー』が初めてだったんです。なので、「大丈夫かな?」という不安も大きかったのですが、坂本(浩一)監督はじめ、たくさんのスタッフさんたちに支えられて、(主演として)真ん中に立つことができました。
――『キュウレンジャー』のテレビシリーズも撮影開始から半年が過ぎ、岸さんはスティンガーのキャラクターを完全に自分のものにされていると思います。最初のころと比べると、ご自身でどのような成長があったと思われますか。
お芝居することは難しい、わからないな……という感覚は変わっていないんです。表現することの「正解」はたぶんないんだろうなって。しかし、最近ではいい意味で調子の良し悪しがなくなってきましたね。経験値を積んだというか、お芝居やコンディションについて、こういう準備をしていけばこういう風になるんだな、という段取りがだいたいわかるようになってきました。毎日撮影があるので、撮影に入る直前に自分をベストの状態に持っていくことが、自分の中でルーティンとなって慣れてきたように思っています。
――ネット配信動画や、映画の舞台あいさつなどを拝見しますと、キュウレンジャーの素面キャストさんたちとのチームワークもすばらしいですね。
キャスト全員が自分の役に誇りを持ちつつ、作品をより良くしたいと思っている。そんな人たちの集まりなので、互いに切磋琢磨している部分がすごくあるんですよ。決して馴れ合いにならず、全員が常に作品を良くするためにどうしたらいいかを考えて、ひとつの作品を作っている。お互い、よい影響を与え合っていると思います。僕自身、みんなから「岸が頑張っているんだから、俺たちも頑張ろう」と思われるような立場でいたいという気持ちで常々取り組んでいます。
――キャストの中で特に刺激を受けている方はいらっしゃいますか。
やはり榊原(徹士)~南(圭介)ラインですね! あの2人から学ぶところの多さは別格です。やはり人生経験が違いますから。さすが芸能界に長くいるだけあって、場の対応力みたいなものを目の当たりにして、いつも勉強させてもらっています。特に南くんは誕生日が僕と1日違い、同じ大学、ほぼ同じ身長、血液型や出身地が一緒と、共通点が多いんです。星占いの運勢も一緒ですから、その日のラッキーアイテムも同じやつを持っていたりします(笑)。
――お話をVシネマに戻しますと、本作で初めて『キュウレンジャー』に参加された坂本浩一監督の印象はいかがでしたか。
大好きな監督です。坂本監督は役者に非常にハードなアクションを求めるのですが、僕はとても肌に合いました。Vシネマの撮影期間は2週間くらいで、その間ずっと早起きして撮影していたのですが、毎日がすごくアグレッシブというか、アドレナリンがとめどなくあふれてきて、疲れを一切感じなかったんです。
坂本監督独特の長回しでの演技やアクションを撮る手法も新鮮でしたし、芝居についてはある程度「任せるから」と言ってくださって、自由に演技をさせていただけたんです。そういうところが自分にとって良い刺激になりました。演技については、僕が納得するまでというよりも、監督が納得してくれたらいいと思ってやっていました。舵取りは監督にお任せして、僕は全力で船を漕ぐという感じでしたね。
――テレビシリーズでは見られなかった画として、変身を解除したスティンガーが背後に大爆発を受けながら、静かに歩いてくるというカッコいいシーンがありましたね。
あれはよかったですね! でも、爆炎からの距離はある程度ありつつも、すごく熱かったんですよ。悠然と歩いているように見えますが、内心「あっ、(背中が)焼ける!」とか思っていました(笑)。「寄り(アップ)と引き(ロング)を同時に撮るから、まばたきしちゃダメだよ」と言われていたので、爆発の間はずっと我慢していたのですが、カットがかかった直後、思わず悲鳴を上げました。「熱っちぃぃーー!!」って(笑)。
――Vシネマでのゲスト・間宮夕貴さん演じるミカとスティンガーとの心のふれあいが、切ないドラマを生み出していました。間宮さんの印象はいかがでしたか。
間宮さんはすばらしい女優さんでした。アクションにしても何にしても、自分に対しての「壁」がないというか、絶対NGにしないという姿勢なんです。このシーン、(ぶつかって)痛いと思うけれど、大丈夫?って言われても、「大丈夫、やります!」と即答できる方です。僕も負けてちゃいけないと、ずっと刺激を受けていました。
――セクシーな女性が激しいアクションをこなすというのは、坂本監督のお好みだと思います。ミカもまた露出の多い、刺激的な衣裳で活躍されていましたね。
そうですね。目のやり場に困る……、と思いきや、間宮さんのキャラクターもあって、とてもスポーティというか、清々しい印象でした。坂本監督は終始うれしそうでしたけれどね(笑)。