夏はTシャツと短パン、冬はスウェットやジャージなど、使い古した普段着をパジャマの代わりにしている人も多いのではないでしょうか。でも、パジャマにはちゃんと意味があるって知っていましたか?
今回はこだわりパジャマの専門店「パジャマ屋」の熊坂雅之社長に、パジャマの持つ役割や選び方について伺いました。
快適な睡眠を得るためのパジャマに必要な三つの特徴
- 吸湿性
人は一晩でコップ1杯程度の汗をかくと言われているため、寝ている時の汗や湿気をしっかりと吸収する働きはとても大切です。 - 動きやすい素材
スムーズに寝返りがうてるような素材であることが求められます。また、毎日着る分、普通の服よりずっと洗濯の回数が多くなりますから、それに耐えられる丈夫な素材であること - 気候の変化に、ある程度の対応が可能なこと
日によって気温や湿度が全く違ったりしますからね
具体的にどんなパジャマを選んだらよいのか
「パジャマに使われる素材はいろいろありますが、それぞれに違った特徴があります。夏に人気な素材はガーゼとリネン。ガーゼはハンカチに使われていることからもわかるように通気性、吸収性、放湿性の面で大変優れているほか、ソフトで優しい肌触りと着心地が軽いのもポイントです。生地が薄いため冬には不向きですが、ガーゼを5枚重ねて冬でも暖かく着られるものもあります。
リネンは麻の一種です。麻は耐久性、通気性、速乾性の全てで綿をはるかに上回る優秀素材ですが、それだけだとシワになりやすいのが難点。肌触りがチクチクして苦手という方もいるようです。そんな麻の中でもリネン(亜麻)は特に柔らかくて肌触りの良い素材。さらにリネンと綿を混合した涼しい肌触りのパジャマなどもあります。ナチュラルな風合いが人気ですね。
冬におすすめなのがフリースのパジャマ。一時期アウトドアや防寒具としても人気が出たくらい保温性に優れており、とにかく暖かさの面ではピカイチ。ただ、普通のフリースでは吸水性のなさや静電気が欠点となります。特殊な加工技術で快適性を実現したパジャマ専用のものを選ぶことが重要です。
季節に関係なく人気なのはパイルやシルクのパジャマ。パイルはタオルのような柔らかい肌触りで、伸縮性の高さから寝ている間も動きやすいのがポイント。着心地のよさも抜群です。
シルクのパジャマといえばセレブの代名詞というイメージでしょうか。価格が高く、庶民には手の出しにくい高級品ですが、それに見合うだけの上質な着心地が実感できます。天然素材のシルクは人間の皮膚細胞に近い成分でできているため、肌に優しくなじみやすいのがポイント。また、吸・放湿性と保温効果の両方を兼ね備えているので、年間を通して快適に着用できる大変優秀な素材です」
安いパジャマと高いパジャマの違いって何なんでしょうか?
「一口にパジャマといっても安いものなら1000円ほどで買うことができます。逆に高級なパジャマの場合、1万円台、中には2万円を超えるものも少なくありません。
違いはいろいろありますが、最も大きいのは生地の構造の違いです。同じ素材のパジャマでも、高いパジャマの生地は風合いと耐久強度の最適バランスを研究し、織り方や糸選びにもこだわって作られている場合がほとんどです。
また、普通に考えれば肌触りが柔らかい生地と丈夫で強い生地というものは相反するように思えますよね。でも高いパジャマは、両方のメリットを持った多機能パジャマを作り上げています。そのほかにも、タグや縫い目が極力肌に触れないように、縫い目も袋縫いや折り伏せ縫いで刺激を少なくしたりと、製作にお金と手間をかけている分、どうしても価格もそれなりになります。ただ単に高いというわけではなく、きちんとした理由があるんですよ」
最後に、新しくパジャマを買う人におすすめのパジャマを教えてください。
「最近は、良い意味でパジャマっぽくないというか、普段着としても使えそうなデザインのものが人気です。東日本大震災が起きた頃から災害を身近に感じるようになり、何かあった際はパジャマのままで飛び出しても平気なくらいデザイン性にも優れたものがそろうようになりました。これなら、災害でなくても宅配便が来た際や、ちょっとコンビニに出る時などにも使えるので、普段着をパジャマにするくらいならパジャマを普段着にしてほしいですね(笑)」
取材協力:熊坂雅之(有限会社 フレックス代表)
素材・パジャマ専門のネット販売店「パジャマ屋」代表。
快適な着心地、機能性、デザインにこだわりを持ったオリジナル商品を自社で開発し、パジャマの販売だけで年商2億2000万円を稼いでいる。
http://www.pajamaya.com