汗をかくと同時に気になるのが、その臭い。特に現代人は臭いに敏感であると言われている。気温的にはこれから汗をかかなくなる季節になっていくものの、まったく汗をかかないというわけではない。そこで今回は汗と臭いの関係性について、東京女子医科大学皮膚科教授・講座主任の川島眞医師にうかがった。
汗自体に臭いはない
「汗はもともと無臭なのですが、毛穴に常在している細菌により汗に含まれている脂質やタンパク質が分解されると、臭気を発する物質がつくられます。それが『ワキガ』(腋臭症)や『加齢臭』の臭いの元となっているのです。くさい臭いを封じるには、まずは汗を止めることが先決」と川島医師は話す。
汗は汗腺という皮膚の真皮の部分に存在する組織でつくられており、エクリン汗腺とアポクリン汗腺の2種がある。汗自体に臭いはないが、アポクリン汗腺でつくられる汗が毛穴に常在している細菌と交わると、汗に含まれている脂質やタンパク質が分解され、臭気を発する。これがいわゆるワキガや加齢臭の原因となる。
ワキガは体臭の中でも特に「くさい臭い」の代名詞的存在。ワキガを発症するアポクリン汗腺は思春期のころから活発になるが、実はワキガになりやすい人となりにくい人がいるのはご存じだろうか。
以下にワキガになりやすい人の特徴をまとめたので参考にしてみてほしい。
親子や家族内でワキガを発症している人……遺伝的要素が深く関係しているため、家族内でワキガを発症しているとその率は高くなる。
耳あかが湿っている……外耳道にはアポクリン汗腺があり、「耳あかが湿っている=ワキガになりやすい」という報告がある。韓国では「ワキガ症の約65%が湿性の耳あかである」とする研究データが発表されているとのこと。
汗をかいてもそのままにしている人……汗は常在菌と交わることで悪臭をもたらすため、汗をかいてもそのままにしておけば菌の宝庫となってしまう。
臭いや刺激の強い食事が好きな人……例えば、にんにくやニラなどの香りの強い食材が体内で消化されずにいると、香気成分として汗と一緒に排出されるケースもある。