このところ、スマートフォンやタブレットの影響で「若者のPC離れ」なんていわれるPC。しかし、学校教育でもPCが活用されているほか、2020年にはプログラミング教育が必修化され、ますます子どもにとって切っても切れないデバイスになる。子どもにPCを選ぶときにどんなことがポイントになるだろうか。デジタル機器に詳しいライターの方々に「もし自分の子どもにPCを選ぶなら」ということでいろいろと考えてもらった。第3回はIT/PC系ライターの石井英男さん |
---|
IT/PC系ライターの石井と申します。IT/PC系ライターとしては、いつのまにか古株の方になってしまいました。中1の娘と小4の息子を持つ親として、子どもとPCとの関わりについて、常々関心を持っています。
最近は子どものプログラミング教育やSTEM(Science、Technology、Engineering、Mathematics)教育に関する記事の執筆を依頼されることも増え、展示会やプログラミング教室などの取材を行っているほか、2016年夏からは、子どものためのプログラミング道場「CoderDojo守谷」のメンターもやっています。
職業柄、自宅には多くのPCやタブレットなどのIT機器が転がっており、子どもたちも、私がPCを使って仕事をしているのを見て育ってきました。そういう意味ではちょっと特殊な環境だとは思いますし、子どもとPCのふれ合い方については、それぞれの家庭で考えや事情があるでしょうから、あくまでも、1つの例として参考にしていただければと思います。
子どもにPCを使わせるのは小学3年生くらいから
私は、子どもにPCを使わせるのは、小学3年生くらいからがいいのではないかと考えています。ただ、最初から子ども専用PCを与えるのではなく、親が見ている前で、共用PCを使わせることから始めた方が無難でしょう。
このところ、未就学児、場合によっては2歳や3歳くらいから、タブレットやスマートフォンで遊ぶ子どもが増えています。もちろん、子どもがスマートフォンにべったりという使い方には賛成できませんが、幼児のうちから、触れておくこと自体は悪くないと考えています。
また、2020年から小学校でもプログラミング教育が必修化されます。ただし、プログラミングという新たな科目ができるわけではなく、既存の算数や理科といった教科の中でプログラミング的な要素を一緒に学ぶことになります。
すでに公立小学校でも、プログラミングまではいかなくとも、低学年からPCの使い方を教えて、授業で活用するところが増えています。マウス操作の練習からはじめ、小学3年生くらいからキーボードを使ったタイピング練習を始める学校が多いようです。そのため、自宅のPCでマウスやキーボードの操作に慣れておけば、授業でも戸惑うことはないでしょう。
本格的なゲームをしたいという娘は小6でPC自作に挑戦
私の娘が初めてPCに触れたのは、3歳くらいです。もう使わなくなったストリベリーカラーのiMacで、「キッドピクス」を使ってお絵描きをして遊んでいました。中1の娘に聞いてみたところ、当時のことはあまり覚えていないようですが。
もう少し能動的にPCを使い始めたのは、小学3年のころでした。リビングに家族共用PCとして富士通の液晶一体型PCを置いていたのですが、いつの間にか娘が使っていました。PCの使い方をきちんと教えた覚えはあまりないのですが、学校でローマ字かな入力は習っていたようで、Wordで友達に配る案内状みたいなのを作ったりしていました。
小学5年のころには、ネットサーフィンをしたり、フリーの3D CADソフトで簡単なモデリングを行ったりするようになったので、使わなくなった私のノートPCを娘専用PCとして与えました。もちろん、自由に持ち運べるノートPCは、親の目の届かないところで使う可能性がありますので、フィルタリングソフトを導入して対応しました。
いまではプログラミングにも興味を持ち、CoderDojoや短期プログラミング教室などに参加。ScratchやMOONBlockなどのビジュアルプログラミング言語でゲームなどを作るようになりました。
RazerファンのPCゲーマーに育つ
娘はもともとゲームが好きで、ニンテンドー3DSやWii U、プレイステーション3などのコンシューマーゲーム機でもよく遊んでいましたが、いつしかPCでもゲームをやりたいというようになりました。しかし、リビングの一体型PCや娘に譲った型落ちのノートPCでは、最新のFPSゲームなどは満足に遊べません。
以前からPCを組み立ててみたいといっていたので、小学6年生の夏休みにPC自作に挑戦させることにしました。娘はゲーミングブランド「Razer」のファンで、普通のケースよりもかなり高価でしたが、NZXTのRazerコラボPCケースを使ったゲーミングPCを組み立てました。
自作したゲーミングPCの基本スペックは、CPUがIntel Core i5-6500、GPUがNVIDIA GeForce GTX 1070、メモリが16GB、ストレージが480GB SSD + 1TB HDDというなかなか高性能なマシンです。
学校の課題やネットサーフィン、ゲームなどに活用
娘は現在中学1年生で、自分のスマートフォンを持っています。ただし、Windows Phoneなので、利用できるアプリケーションが限られています。スマートフォンではLINEを中心に使っていて、学校から出た課題の調べ物は、基本的にリビングのPCを使っているようです。
ガンダムやボカロ、ラノベに加えて、マジック:ザ・ギャザリングやデュエル・マスターズを初めとするTCGが大好きという、控えめにいってもオタク気質な娘ですが、そうした趣味について調べるのにもPCを活用しています。前述した3D CADも「Fusion 360」を使って3Dモデリングを行い、3Dプリンターを使って出力するといったこともしています。簡単な形状のものばかりですが、「魔法少女まどか☆マギカ」の好きなキャラをイメージしたアクセサリーを作ったりしていました。
PCゲームについては、「オーバーウォッチ」などのFPSを好んでプレイしているようですが、最近、私がVR HMD「Oculus Rift」を手に入れたので、VRを体験させたところ、その美しさに感動していました。また、英語も話せるようになりたいとのことなので、英語学習ソフトの「ロゼッタストーン」で、少しずつ勉強しています。
娘は先日、Wizards of the Coastのユースアンバサダープログラムに応募し、ユースアンバサダーに選ばれました。ユースアンバサダーには、さまざまなプログラムが用意されていますが、その中でも大きなイベントが、8月後半に行われた5泊7日のシアトルツアーです。
このツアーでは、Wizards of the Coastをはじめ、Microsoft、Starbucks、Amazon 、Boeing、任天堂アメリカ(NOA)といった大企業を訪れ、話を聞いたり、マジック:ザ・ギャザリングを通じて現地の家族と交流などが行われました。その記録をメモするために、超小型PC「GPD Pocket」を娘に持たせてみました。キーボードの配置にちょっと癖がありますが、使っているうちに慣れたようです。
一般的な家庭の小中学生にお勧めしたいノートPC
我が家の事例はちょっと特殊だと思いますが、一般的な家庭で小中学生の子どもにPCを持たせるのなら、汎用性とコストパフォーマンスに優れた14型~15.6型液晶搭載ノートPCがお勧めです。
大学生以上なら、学校にPCを持って行ってレポートを書いたりすることも増えてくるでしょうが、小中学生ではそうした使い方をする場面はあまりいないでしょう。携帯性よりも、インタフェースなどの使い勝手を重視すべきだと思います。
ただし、CoderDojoなどのプログラミング道場やワークショップなどでは、自分のPCを持ってくることが前提になっているところもあります。そうした持ち運びまで考慮に入れるなら、重量2kgを切る製品から選択するとよいでしょう。
用途を考えると、CPUはCore i5またはCore i3で十分でしょう。メモリは8GB欲しいところです。ストレージは初めてPCを使うのならHDDでも大丈夫だと思いますが、予算に余裕があるならSSDをお勧めします。そうした観点からチョイスした3機種を紹介します。